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ゆめ か うつつ か
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当地では 珈琲とは苦いものの象徴ではなく狂ったように甘い液体を差していた。

茶やコウヒイに何かを入れるのは贅沢だから、砂糖をやたら入れるのはもてなしの証。
あまたるいそれを舐めながら欠けた皿に山盛り盛られた緑色の干し葡萄をつまむ、

乾いた太陽の味。
乾いた日々の味。

……わたしは大陸をふらふらと落ち尽きなく彷徨い、気に入った場所を探していた。

気に入った場所、自分を終わらせるにふさわしい場所、最後の最後に五感に触れるに足りる世界。
……生まれてくる場所が選べないなら、せめて死に場所くらいは自分で決めてもいいんじゃないのか?

ここが終着の場になるのかどうかわたしには判らなかった、というよりいまだ決めかねていた。

砂の中に在る町。昼ひなかは、外には出れない。体温より高い気温にたちまちやられるから。
冷たい床にぐったりとねそべりながら風を探す、猫のように。

床につもりゆく煙草の灰だけが時の経過を教えてくれる。
ゆらゆらとゆれる煙の向こうに見える、荒れ果てた砂の世界。荒れ果てたわたしの世界。


ああ こうしてのたれじぬのも わるくない



思いながら 今日もまた 暮れていく。






Rちゃんからずいぶん前に戴いていたお題を消化。もとい、消化不良。
八割方体験記ですね。トルファンは暑かった……




 

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