ゆめ か うつつ か
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戦中日記は蔵書乏しいうちの市図書館にもあるくらいだけれど、1945年以降の日記は未見だったのでわざわざ他の図書館から借り入れてきてはみたものの、元来日記というのはだらだらと日常をつづったものでなかなか読み進められたものでない。まして戦後の無気力とやるせなさの溢れた文は、雑音と暑さにうだるような東京では1ページも読めずただ山でなら読みこなせるかと持ってきた。
今の私と同じ年くらいの中井は、今の私とほぼ同様の無為の日々を送っていた、何も為さない、為せない、戦という国をあげての祭りを拒否もできずただ巻き込まれ、かといって死ぬことも出来なかった、夢をみはぐれたまま現実に投げ出されてそちらにもついてゆけずただ書を読むことだけ、流れて逝く日本を観察するだけ、その感慨すら六十年後のあたしのそれと酷似しているのがただ、しみいるようで。
*
以下抜書
「戦争が不幸にして日本の勝利に終わった場合、この同じ国民が何をしでかすやらと思へば、實にほつとせざるを得ない」
「己の一番嫌悪し、最も憎むのは、この枯つ葉みたいにへらへらし、火をつければすぐかあつとなる日本帝国臣民といふやつだ。この臣民をそのまま人民と名を置き換へて、明日の日本に通用させようとするのは、今日最も危険なことだ」
「このくすぶれる暗黒の大地からは、何度だつて芽がでてくる。狂信的な愛国主義者、国家主義者、…そいつらの下肥がかかつた、この汚れたる大地を先ず耕せ。」
「昨年の敗戦以来、呆れて物の言へないこと二つ。
ひとつ、無条件降伏が決定した際、尚且つ一部青年将校が徹底抗戦を主張した事実。その青年達が今尚恬然と国民の中にかくれてゐること。
ひとつ、降伏以後尚且国体護持などといふ言葉がむしろ当然のやうに言い触らされてゐること。それを支持する者の中に知識階級の多くが含まれてゐること。
・天皇に責任はない。何故ならば「宣戦の大詔」なるものは即ち「敗戦の大詔」を出すに等しかつたから。
・こんな生ぬるい敗け方は日本の不幸である。僅かにも生きる道の残されてゐることが日本の反動勢力を未だに養ひつつある。
・日本では民主主義といふものは存在し得ない。民の多くは民主主義を否定するから。
嗚呼永遠の奴隷国家日本!速やかにアメリカの植民地と変ぜよ。この濁れる血を救ふものは、紅毛びととの雑婚に依る他はない」
*
「怠堕の果に住ひしながら、社会を云々するのはよし給へ」
今の私と同じ年くらいの中井は、今の私とほぼ同様の無為の日々を送っていた、何も為さない、為せない、戦という国をあげての祭りを拒否もできずただ巻き込まれ、かといって死ぬことも出来なかった、夢をみはぐれたまま現実に投げ出されてそちらにもついてゆけずただ書を読むことだけ、流れて逝く日本を観察するだけ、その感慨すら六十年後のあたしのそれと酷似しているのがただ、しみいるようで。
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以下抜書
「戦争が不幸にして日本の勝利に終わった場合、この同じ国民が何をしでかすやらと思へば、實にほつとせざるを得ない」
「己の一番嫌悪し、最も憎むのは、この枯つ葉みたいにへらへらし、火をつければすぐかあつとなる日本帝国臣民といふやつだ。この臣民をそのまま人民と名を置き換へて、明日の日本に通用させようとするのは、今日最も危険なことだ」
「このくすぶれる暗黒の大地からは、何度だつて芽がでてくる。狂信的な愛国主義者、国家主義者、…そいつらの下肥がかかつた、この汚れたる大地を先ず耕せ。」
「昨年の敗戦以来、呆れて物の言へないこと二つ。
ひとつ、無条件降伏が決定した際、尚且つ一部青年将校が徹底抗戦を主張した事実。その青年達が今尚恬然と国民の中にかくれてゐること。
ひとつ、降伏以後尚且国体護持などといふ言葉がむしろ当然のやうに言い触らされてゐること。それを支持する者の中に知識階級の多くが含まれてゐること。
・天皇に責任はない。何故ならば「宣戦の大詔」なるものは即ち「敗戦の大詔」を出すに等しかつたから。
・こんな生ぬるい敗け方は日本の不幸である。僅かにも生きる道の残されてゐることが日本の反動勢力を未だに養ひつつある。
・日本では民主主義といふものは存在し得ない。民の多くは民主主義を否定するから。
嗚呼永遠の奴隷国家日本!速やかにアメリカの植民地と変ぜよ。この濁れる血を救ふものは、紅毛びととの雑婚に依る他はない」
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「怠堕の果に住ひしながら、社会を云々するのはよし給へ」
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