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駅のホームで、黒いフリルのドレスに黒レースとリボンの手袋、白黒のハイソックスに編み上げブーツ、長髪をたばねもせずにすべらかした、いわゆるゴシックロリータなおんなのこを見た。
外気温36度、炎天にかげろうがたちのぼる猛暑の日だった。
・・・・・・こう、なんか、すごいなと思うより先に、違和感。
なんだろう、もうこれ趣味っていうか、イデオロギーの世界っていうの?自らの主義主張・価値観を守るための闘争っていうの??連日熱中症患者があいつぐこの夏、死の危険と隣り合わせのいでたちをあえてするってことはさ。ゴスロリの精神性はよくわからないけど、幻想怪奇とか耽美とか優雅とかそういうのでしょう、少なくとも「ど根性」じゃないような気がするのよね。
喪章みたいに、軽装にプラスするだけで「ゴスロリです」ってマークできるものがあれば手軽なのにねえ。
わたしもたっぷり眠りをむさぼったあと、姉の見舞いに乗り出す。親父も仕事帰りにやってきて、疲れからか興奮からか・いきおいよく新車を擦っていた。じっさい、今回はみな、待ち疲れた感はいなめない。姉は半月ほど前から前駆陣痛に悩まされ、そのつど母やわたしや弟を深夜に起こしたりなどしていたし。
ま、ぶじ生まれてよかった。
しかし今度の産院は、あまりにゴージャスでびびった。この前は、清潔感はありながらも、アットホームでこぢんまりした雰囲気だったのだが、今回は、大理石の玄関、豪華なシャンデリア、籐の家具など、全体的にセレブなムード満載。
弟「・・・・いや、すごいっすねコレ。(費用のほうは)だいじょぶなんすか?」
姉のダンナ「いやーはっはっは、、明日からまいにちお茶漬けですね!」
リアルっぽい!
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そんでひさびさ 荒れた部屋を片付けたり、旧友に信(てがみ)をしたためたりしてた。ああこの前買ったお中元ついに出しそびれてしまったどうしよう、もうわたしがくっちゃおうかな・・・・・・・
・・・・・・・・・あっ、わーい嬉しいな~ちょうどお菓子食べたかったんだ~!テーマパークのチケットとか3000円分の商品券は食べられないものネ!
とは
思わなかったよちくしょう!
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上記の福引を催していた古書店買った、『異国漂流奇譚集』。どこから流れてきたか知らないが、このへんの古書店にしては気の利いた珍本で迷っていたところ、ちょうど福引四回分に相応する値段だったので。『漂流』『奇譚』、ともにわたしのストライクゾーンど真ん中ワード。「シンドバッドの冒険」「宝島」「ロビンソンクルーソー」『前日島』『ある遭難者の物語』「メデューズ号の筏」「ひかりごけ」「補陀落渡海」「桃花源記」あたりも漂流、漂着の物語だなあ。いいなあ。
母「それが、笑っちゃうの。
ダンナがね、『冷やし中華に根菜が入ってない』って文句言ったのがケンカの原因ですって」
わたし「・・・・・・冷やし中華に・・・・・・根菜って、入れるっけ?」
・・・・・母とひとしきり、笑う。
まあ、冷やし中華の具材なんて、お雑煮とおなじできっと家庭ごとに個性が出るものなんだろうが。それにしてもふつう、冷やし中華に入れる根菜ってにんじんくらいしかない気がするぞ。
わたしだったら、たまごさえ入ってればそれでOKだな。
なんにしても、ケンカっていうよりのろけだと思った。「ごちそうさま」でした。
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夏の間は素足で居たいし、足捌きも格別だし、サンダルばかり履いている。
と いってもグラディエーターだのコーンヒールだのウェッジソールだの呪文さながらに美々しく洒落たものではなく、ビーチサンダルに毛がはえたよーな、つまりはほんとに日常感あふるる「サンダル」。しかしそうなるとどうしても爪先が見えてしまうのは自明の理で、足の爪は汚れやすいし、汚れたら人目につく場所でもあるし、こればかりは不精を返上してペディキュアをすることにしている。「おしゃれ」というよりは「清潔感」のため。
らくなんだよね 足指ネイルは。手の指にくらべて塗りやすいし、乾かす間に何かできるし。
そんなわけでさまざま塗り替えては遊んでいる。今は、先日職場でもらった黄色ラメの色、すてきにおいしそうなカキ氷のレモンイエローを塗っている。見るたびにカキ氷を食べたくなる。夏色。
最近は、二歳になる姪っ子が、たびたび色が変わるわたしの足指が気になるらしく、会うたびにつつきにくるのも面白い。(もっとも姉は、「足なんて触っちゃ汚いでしょ」と眉をしかめているが)。
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高温多湿地域に住まう日本人は、もともと素足感覚を重視した履物ばかり履いていた。
足の大部分が露出する下駄や、足半(あしなか)と呼ばれる半分しかないわらじのようなものなど。冬だって足袋一足、一説によれば、「おいらん」なんて、その小さい爪先を見せるのが粋だってんで、雪の中でも裸足だったらしいね?
いわゆる幕末明治の「お雇い外国人」から文明開花まで、西洋の服装風俗でいちばんこまったのが、履物だってね。日本で一番最初の靴屋は横浜の店だったとか。それも、作りつけていない「かかと」部分から壊れていったらしい。
・・・・・・・・そんな無理にまねするから、だから日本人は、五人にひとりが水虫、とか言われるくらい、水虫患者が多いんだよ。
ってちょっと思った。