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推理からエッセイから幻想小説までごったに。
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『Xの悲劇』 クイーン
すげえ有名なアレ。出出し三十ページくらいであれ?どっかで読んだことある…と気付いた。多分小学生ん頃だ。トリック以外の全てを忘れていたがむしろトリックこそを忘れたかった…
肝心な部分がわかっていたので、後は人間関係やら探偵のドルリー・レーンのかっこよさを楽しんでた。
レーンは耳が聞こえないもと名優の老人で、博学にして優美、会話にハムレットの台詞なんか引用しちゃうおじいさまで、趣味は日光浴……刑事二人が塔の上のレーンを訪ねていくとほぼ全裸で熊の毛皮に横たわってたりするんだぜ。ステキ!
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『タテ社会の人間関係』 なかねちえ
日本人の所属集団・帰属する世界はひとつ、絶対的なそれに守られている…日本
以外では、自分を守るのは自分しかないのに。
ひとつに拒絶されると世界が終わったような気分になるのはそのせいかしら?
この本が70年代のものだということに衝撃を受けた。そんなにも昔から指摘されて居るにもかかわらず、だ。
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『江戸団扇』 大庭柯公(おおばかこう・1872生・行方不明)
解説尾崎秀樹。
著者は二葉亭四迷の友人、ロシア語通訳、新聞記者、社会主義者。
「酒」
辞書で酒という字を酉でひくのは杜康というさけづくりの先祖が酉の日に死んだから。
「翻訳」
・トルストイの「戦争と平和→明治19年の翻訳名は「泣花怨柳北欧血戦余塵」、絵入り・岡山県人森某訳。
・鮨は日本のサンドイッチ?
・ペルシャ→はるしゃ。入ってきたのは享保
・カエイ年間、幕府上書に世界=「円球」とある。
・イギリスを暗厄利亜(あんぎりあ)暗の字を充てているところに笑う。
・白髪三千丈
→わが黒髪もしら糸の千ひろ千ひろに又千ひろ、うさやつらさのますかがみ、いずくよりかは置く霜の
(忍海和尚)
・秋=い出ては旅によく入っては読書によき季節
・読書は愛玩的なもの
専門書や聖賢の書をよむのは日常のつとめ、蔵書多きを誇るは愚、シェクスピヤの蔵書は僅かに風呂敷いっぱいほどであった。いかなる良書でも没頭的読書は禁物、朱子の読書三到はよろしくない。
読書はなはだ解するを求めぬ五柳先生(→陶淵明・家に五株の柳を植え号とした)を学ぶべき。
←濫読のあたしにはこころづよい言葉だ。
「筆勢」
卷舒(けんじょ
躍動
運筆上の呼称:落起走住畳囲回蔵
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井伏鱒二
「夜ふけと梅の花」
梅かおる夜道を歩いていたら顔面血だらけの男と遭遇…その男のために証人になることを約束したが男はそれ以来現れない。男との約束が気がかりなまま一年過ぎる。
なんてことない話だけどこのなんてことなさがいいんだな。余韻がある。
ちなみにあたしも昼間だけど顔面血まみれの男に出くわしたことがある。
のみならずそいつに熱烈なナンパを受けた。どういうことだ。
「朽助の居る谷間」
つまりは故郷、憧憬ということか。主人公の酷さ・朽助の純朴さ・ハワイ生れのハーフ少女タエト・・
「ジョセフと女子大生」
これが一番面白かったかな。姪の女子大生に英語の文章を教えてくれと言われて教えていたが実はィアイルランド人の少年ジョセフに果敢にアタックするためだった、
ジョセフが自宅にモナリザの絵がかかってると言って実は西郷隆盛の肖像だったオチにわらった。
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マルセル・ベアリュ
「水蜘蛛」
女と二人きり、そこに新たな女がくわわり前の女は去る。1+2-1=2
二人の女にはさまれ選ばねばならない、あるいは両者をも。
夏の川のほとり、かぼそくやや金属的な歌声がきこえてくる出だしはステキだし蜘蛛が少女に変身して行く展開にはドキドキした!鳥をてなずけ森を飛ぶように走るナディと、元の妻のカティ。都合のいい主人公に腹がたつ。水蜘蛛を返そうとして奈落に落ちるのも道理。
「球と教授たち」は以前どっかで読んだことある…得体の知れない球体を、天使の卵ということにして概念を与え安心する教授たち。
「読書熱」は本を読みすぎて頭だけになってしまう男の短い物語。
「向いの家」、前こういう夢を見た…森の中の不思議な家と住人。
「諸世紀の伝説」死者の樹、「禁じられた窓」グリム童話のヴァリアント
「最後の瞬間」は並行するもう一台の列車に飛び移る話、少なくとも今度の列車は「より遠くまで」連れてってくれるだろう…漱石の夢十夜、第八夜?にこういう話しがあった。船だけど。
「最悪の年の年代記者」
皇帝と大臣のふたりしかいない国、テーブルも無いので年代記が書けず、お互いに監視しあう毎日。庭のひまわりの軸回転で時刻を知る。ひまわりの根は鋼鉄製で、それを使い皇帝を殺し死体をテーブル代わりに年代記を書こうとする。庭にはマンドラゴラ、大地から抜くとすぐに枯れてしまう胎児,は次の日には成長した死体となる。死体を片付けるために、年代記はまだ書けない・・・
「百合と血」手首を切り百合に吸わせる、錬金術に魅せられた男の自殺。
通勤にえらく時間がかかるので本の一冊二冊は常備の方向なんだけど、ずっと昔から欲しいと思っていながら手を出しかねていた『耳嚢』をようやく読んでいる。聊斎志異の日本版ってとこかな。江戸期のおじちゃんのおもしろ日記。幽霊・狐の話から仇討ちやら安倍川もちの由来やら頭痛の特効薬やらよくきくおまじないその他、ぽつぽつ、拾い読み。旧仮名遣いだけど註付きだからラク。。
中にひとつ、大爆笑した話があるので抜粋。
注・お下品です!
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「藤沢某といへる老士ありしが、おかしき人にてありし」
藤沢某は、或る時つくづく
「自分はこれまでいろいろやってきたけれど、男色の少年(女役)にだけはなったことがない。どんなものだろうと思うけど、自分はもともとイケメンでもないしもうこんなに老いてしまったし」
……と、ふと思いついて お道具 を買い求め春の日に縁側の端っこで試してみることにした……
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……ここまで書いてげっそりしたので詳しくは書かないけれど爺さんがそのまま気絶したのは言うまでもなく。
そしてそのままの状態で家族に発見されたのも言うまでも無く。
なんというかまああまりの笑(衝)撃に朝っぱらからGに、満員電車で、これを語ろうとしてしまったくらいには面白かった。つうかなんてチャレンジャーな爺さんだ藤沢某。普通は「どんなものだろう」と思うくらいでやめておくよね!!
しかし一番恐ろしいのは、この爺さんを「おかしき人にてありし」のひとことでやっつけた作者だと思った。
品性よろしからぬ人間なので思いがけずこういう話にでっくわすと大喜びします。
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調子に乗ってかつて書きかけた西洋好色本についてなど。
っつうかマンディアルクの総まとめ。
↓18禁です。
『城の中のイギリス人』
サドよりはまだしもライトなほうかな。
イギリス人外交官、改名・モンキュの城に招待された「私」は、海中にそびえ、一日に二時間しか渡るすべの無い城で行なわれる彼の「実験」に立ち会う。そこでは彼はバルタザールというあだ名で、黒人の混血女やドイツ公女などとともに淫蕩で残酷な饗宴に参加する。
氷やら蛸やら犬やらスカトロやらぺデラスト、で 最後に拷問、という流れだけど、描写だけでなく物語性があって、しかも悪徳の体現者がひとりかふたり、というとこが一応救われるとこかな…主人公も最後逃げ帰ってるし。黒白混血娘のヴィオラちゃんの描写は美しい。
勝手感想→
男が女を追いかけるのは、獲物を射とめ「殺すため」である。
自分が愛した者には消滅して欲しい、という願望。交わったはしから女をころしていくのはそのため?
澁澤訳のイギリス人~と読み比べたい。
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ついでに。
『一万一千本の鞭』 アポリネール/須賀慣訳
ブカレストのプリンスモニイ・ヴィベスクはパリに憧れ、セルビアのゲイの副領事との情事を終え、パリで19歳の美女キュルキュリーヌに二十回続けて「致す」ことができなければ一万一千本の鞭ヴェルジュ(=処女ヴィエルジュ)を受けると誓う。しかし強盗のためにキュルキュリーヌともうひとりの美女との情事は中断、モニイは強盗のひとりコルナブーを下男にし自分を抱かせ女優をいたぶり、ついで軍の命令で旅順へと向かう。
最後に日本軍の捕虜となったモニイは、日本兵士一万一千人に鞭打たれ首から下の原形をとどめず亡くなり、キュルキュリーヌはモニイの像を満州につくらせる。その像は今もある。
……いろんな感想で取り上げられてるけどやはり旅順に居た日本娘キリエムの身の上話が面白かったね。頑張って歌舞伎やら伝統芸能の説明してる、でもキリエムは日本名じゃない…。
日本の将校が春画の解説したりね。ジャポニスム。一万一千人の日本人兵士に鞭打たれて死ぬってすげえ何つうか、ストイックなあまりにみだらですらある。凄絶。
んー しかしセックスというのはある程度パターンが決まってるので、とても、メカニカルなイメージ。
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ところでこないだ先輩に
「この仕事、キャリアにならないよ☆」とさらっと言われました。
「キャリア志向ならもっと別のとこに行ってます☆」と返しておきました。
確かにある方面の知識はつくけどそれって多分実生活及び他の職種には何の役にもたたないだろおな。そういう生産性の無いもの大好きなのでこれといって問題は感じない。自分は周囲から見たら何がやりたいのかよくわからない人間だと思う、それでいいと思う、赴くまま好き放題全部食いちらかして何も成さず死後「こいつは一体何のために生きてたんだ?」って言われたい。
すなわちゼロ、「矛盾」の体現。
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そんで、うすうすわかってきたけどこの職場、道楽者の集まりだわ。ステキ。
めぐる想い、音、葉(あお)、近親相姦、初恋
二:虞 ぐ ……おそれる・うれえる・おもいめぐらす
秘めた想い、色、花(あか)、同性、入手と失楽の間
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と いうわけで「四季・恋・植物・色・感覚」をテーマにまとめてみた。そうなの、「しょう」はそういうお話だったの。
正直二はまだ改良中をなので書き足すかもわからない。