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通勤にえらく時間がかかるので本の一冊二冊は常備の方向なんだけど、ずっと昔から欲しいと思っていながら手を出しかねていた『耳嚢』をようやく読んでいる。聊斎志異の日本版ってとこかな。江戸期のおじちゃんのおもしろ日記。幽霊・狐の話から仇討ちやら安倍川もちの由来やら頭痛の特効薬やらよくきくおまじないその他、ぽつぽつ、拾い読み。旧仮名遣いだけど註付きだからラク。。
中にひとつ、大爆笑した話があるので抜粋。
注・お下品です!
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「藤沢某といへる老士ありしが、おかしき人にてありし」
藤沢某は、或る時つくづく
「自分はこれまでいろいろやってきたけれど、男色の少年(女役)にだけはなったことがない。どんなものだろうと思うけど、自分はもともとイケメンでもないしもうこんなに老いてしまったし」
……と、ふと思いついて お道具 を買い求め春の日に縁側の端っこで試してみることにした……
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……ここまで書いてげっそりしたので詳しくは書かないけれど爺さんがそのまま気絶したのは言うまでもなく。
そしてそのままの状態で家族に発見されたのも言うまでも無く。
なんというかまああまりの笑(衝)撃に朝っぱらからGに、満員電車で、これを語ろうとしてしまったくらいには面白かった。つうかなんてチャレンジャーな爺さんだ藤沢某。普通は「どんなものだろう」と思うくらいでやめておくよね!!
しかし一番恐ろしいのは、この爺さんを「おかしき人にてありし」のひとことでやっつけた作者だと思った。
品性よろしからぬ人間なので思いがけずこういう話にでっくわすと大喜びします。
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調子に乗ってかつて書きかけた西洋好色本についてなど。
っつうかマンディアルクの総まとめ。
↓18禁です。
『城の中のイギリス人』
サドよりはまだしもライトなほうかな。
イギリス人外交官、改名・モンキュの城に招待された「私」は、海中にそびえ、一日に二時間しか渡るすべの無い城で行なわれる彼の「実験」に立ち会う。そこでは彼はバルタザールというあだ名で、黒人の混血女やドイツ公女などとともに淫蕩で残酷な饗宴に参加する。
氷やら蛸やら犬やらスカトロやらぺデラスト、で 最後に拷問、という流れだけど、描写だけでなく物語性があって、しかも悪徳の体現者がひとりかふたり、というとこが一応救われるとこかな…主人公も最後逃げ帰ってるし。黒白混血娘のヴィオラちゃんの描写は美しい。
勝手感想→
男が女を追いかけるのは、獲物を射とめ「殺すため」である。
自分が愛した者には消滅して欲しい、という願望。交わったはしから女をころしていくのはそのため?
澁澤訳のイギリス人~と読み比べたい。
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ついでに。
『一万一千本の鞭』 アポリネール/須賀慣訳
ブカレストのプリンスモニイ・ヴィベスクはパリに憧れ、セルビアのゲイの副領事との情事を終え、パリで19歳の美女キュルキュリーヌに二十回続けて「致す」ことができなければ一万一千本の鞭ヴェルジュ(=処女ヴィエルジュ)を受けると誓う。しかし強盗のためにキュルキュリーヌともうひとりの美女との情事は中断、モニイは強盗のひとりコルナブーを下男にし自分を抱かせ女優をいたぶり、ついで軍の命令で旅順へと向かう。
最後に日本軍の捕虜となったモニイは、日本兵士一万一千人に鞭打たれ首から下の原形をとどめず亡くなり、キュルキュリーヌはモニイの像を満州につくらせる。その像は今もある。
……いろんな感想で取り上げられてるけどやはり旅順に居た日本娘キリエムの身の上話が面白かったね。頑張って歌舞伎やら伝統芸能の説明してる、でもキリエムは日本名じゃない…。
日本の将校が春画の解説したりね。ジャポニスム。一万一千人の日本人兵士に鞭打たれて死ぬってすげえ何つうか、ストイックなあまりにみだらですらある。凄絶。
んー しかしセックスというのはある程度パターンが決まってるので、とても、メカニカルなイメージ。