ゆめ か うつつ か
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「愛」のかたち/武田泰順
夫ある町子と小説家の光雄の不倫。「私は女でない」肉体から始まりそれに依るふたり。町子は人形のように愛されたかった、夫と違い肉体の結合でなくその美をのみ愛でる光雄にすがる。肉体を介在させつつ精神的な愛を望む、肉から始まった肉なしの愛。
「利口な野獣」/「危険な物質」
結局は光雄の友人Mと同棲する町子。光雄は打算による結婚を考える。愛していたら触らないで、という願いは確かに誰にでもある、しかしそれは大抵少女期までで、26にもなって肉体の無い愛なんてどだいそんなもの望む方が無理ってもので…光雄はよく待ったと思う、この場合哀れなのは町子で…しかしそういう女は確実に居るのだ。
タイトルどうにかならなかったものか。
『神の裁きと決別するため』/A・アルトー
「私は昨日そのことを知った」アメリカ人は公立学校で精液の検査をするという・優越性の実験のために、それは競争の原理、「だから戦争万歳ではないか?なぜなら、こうしてアメリカ人が準備したのは、いまも必死で準備しているのはひたすら戦争なのだ」トゥトゥグリのダンス
糞便性の探求/「神とは存在なのだろうか。神が存在だとすれば神は糞である」
内的な抑圧が身体の爆発に至るのだと?
残酷とは何か。
ヴァン・ゴッホの純潔/「熾天使や処女には不可能なほどに純潔だった、なぜならそもそも罪の大いなる機構を助長し維持させたのは、まさしく彼らであるからだ」
身体をよせあつめる
「彼は…どうしてもそれに辿り着けないと言う不安のなかで自殺したのではなく、
それどころか、ようやくそれに辿り着き、自分が何であるか、そして自分が誰であるのかを彼は見出だしたばかりだったのだが、そのとき社会の一般意識が、社会から無理やり身を引き離した廉で彼を罰するために、ヴァン・ゴッホを自殺させた」
血に染まったゴッホの幻影、痙攣する魂、断罪。
夫ある町子と小説家の光雄の不倫。「私は女でない」肉体から始まりそれに依るふたり。町子は人形のように愛されたかった、夫と違い肉体の結合でなくその美をのみ愛でる光雄にすがる。肉体を介在させつつ精神的な愛を望む、肉から始まった肉なしの愛。
「利口な野獣」/「危険な物質」
結局は光雄の友人Mと同棲する町子。光雄は打算による結婚を考える。愛していたら触らないで、という願いは確かに誰にでもある、しかしそれは大抵少女期までで、26にもなって肉体の無い愛なんてどだいそんなもの望む方が無理ってもので…光雄はよく待ったと思う、この場合哀れなのは町子で…しかしそういう女は確実に居るのだ。
タイトルどうにかならなかったものか。
『神の裁きと決別するため』/A・アルトー
「私は昨日そのことを知った」アメリカ人は公立学校で精液の検査をするという・優越性の実験のために、それは競争の原理、「だから戦争万歳ではないか?なぜなら、こうしてアメリカ人が準備したのは、いまも必死で準備しているのはひたすら戦争なのだ」トゥトゥグリのダンス
糞便性の探求/「神とは存在なのだろうか。神が存在だとすれば神は糞である」
内的な抑圧が身体の爆発に至るのだと?
残酷とは何か。
ヴァン・ゴッホの純潔/「熾天使や処女には不可能なほどに純潔だった、なぜならそもそも罪の大いなる機構を助長し維持させたのは、まさしく彼らであるからだ」
身体をよせあつめる
「彼は…どうしてもそれに辿り着けないと言う不安のなかで自殺したのではなく、
それどころか、ようやくそれに辿り着き、自分が何であるか、そして自分が誰であるのかを彼は見出だしたばかりだったのだが、そのとき社会の一般意識が、社会から無理やり身を引き離した廉で彼を罰するために、ヴァン・ゴッホを自殺させた」
血に染まったゴッホの幻影、痙攣する魂、断罪。
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戦中日記は蔵書乏しいうちの市図書館にもあるくらいだけれど、1945年以降の日記は未見だったのでわざわざ他の図書館から借り入れてきてはみたものの、元来日記というのはだらだらと日常をつづったものでなかなか読み進められたものでない。まして戦後の無気力とやるせなさの溢れた文は、雑音と暑さにうだるような東京では1ページも読めずただ山でなら読みこなせるかと持ってきた。
今の私と同じ年くらいの中井は、今の私とほぼ同様の無為の日々を送っていた、何も為さない、為せない、戦という国をあげての祭りを拒否もできずただ巻き込まれ、かといって死ぬことも出来なかった、夢をみはぐれたまま現実に投げ出されてそちらにもついてゆけずただ書を読むことだけ、流れて逝く日本を観察するだけ、その感慨すら六十年後のあたしのそれと酷似しているのがただ、しみいるようで。
*
以下抜書
「戦争が不幸にして日本の勝利に終わった場合、この同じ国民が何をしでかすやらと思へば、實にほつとせざるを得ない」
「己の一番嫌悪し、最も憎むのは、この枯つ葉みたいにへらへらし、火をつければすぐかあつとなる日本帝国臣民といふやつだ。この臣民をそのまま人民と名を置き換へて、明日の日本に通用させようとするのは、今日最も危険なことだ」
「このくすぶれる暗黒の大地からは、何度だつて芽がでてくる。狂信的な愛国主義者、国家主義者、…そいつらの下肥がかかつた、この汚れたる大地を先ず耕せ。」
「昨年の敗戦以来、呆れて物の言へないこと二つ。
ひとつ、無条件降伏が決定した際、尚且つ一部青年将校が徹底抗戦を主張した事実。その青年達が今尚恬然と国民の中にかくれてゐること。
ひとつ、降伏以後尚且国体護持などといふ言葉がむしろ当然のやうに言い触らされてゐること。それを支持する者の中に知識階級の多くが含まれてゐること。
・天皇に責任はない。何故ならば「宣戦の大詔」なるものは即ち「敗戦の大詔」を出すに等しかつたから。
・こんな生ぬるい敗け方は日本の不幸である。僅かにも生きる道の残されてゐることが日本の反動勢力を未だに養ひつつある。
・日本では民主主義といふものは存在し得ない。民の多くは民主主義を否定するから。
嗚呼永遠の奴隷国家日本!速やかにアメリカの植民地と変ぜよ。この濁れる血を救ふものは、紅毛びととの雑婚に依る他はない」
*
「怠堕の果に住ひしながら、社会を云々するのはよし給へ」
今の私と同じ年くらいの中井は、今の私とほぼ同様の無為の日々を送っていた、何も為さない、為せない、戦という国をあげての祭りを拒否もできずただ巻き込まれ、かといって死ぬことも出来なかった、夢をみはぐれたまま現実に投げ出されてそちらにもついてゆけずただ書を読むことだけ、流れて逝く日本を観察するだけ、その感慨すら六十年後のあたしのそれと酷似しているのがただ、しみいるようで。
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以下抜書
「戦争が不幸にして日本の勝利に終わった場合、この同じ国民が何をしでかすやらと思へば、實にほつとせざるを得ない」
「己の一番嫌悪し、最も憎むのは、この枯つ葉みたいにへらへらし、火をつければすぐかあつとなる日本帝国臣民といふやつだ。この臣民をそのまま人民と名を置き換へて、明日の日本に通用させようとするのは、今日最も危険なことだ」
「このくすぶれる暗黒の大地からは、何度だつて芽がでてくる。狂信的な愛国主義者、国家主義者、…そいつらの下肥がかかつた、この汚れたる大地を先ず耕せ。」
「昨年の敗戦以来、呆れて物の言へないこと二つ。
ひとつ、無条件降伏が決定した際、尚且つ一部青年将校が徹底抗戦を主張した事実。その青年達が今尚恬然と国民の中にかくれてゐること。
ひとつ、降伏以後尚且国体護持などといふ言葉がむしろ当然のやうに言い触らされてゐること。それを支持する者の中に知識階級の多くが含まれてゐること。
・天皇に責任はない。何故ならば「宣戦の大詔」なるものは即ち「敗戦の大詔」を出すに等しかつたから。
・こんな生ぬるい敗け方は日本の不幸である。僅かにも生きる道の残されてゐることが日本の反動勢力を未だに養ひつつある。
・日本では民主主義といふものは存在し得ない。民の多くは民主主義を否定するから。
嗚呼永遠の奴隷国家日本!速やかにアメリカの植民地と変ぜよ。この濁れる血を救ふものは、紅毛びととの雑婚に依る他はない」
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「怠堕の果に住ひしながら、社会を云々するのはよし給へ」
霧 の中 で
溶 けそう。
食料と折り畳み自転車と一緒に山小屋に落としてもらった。地震はなんてことなかったみたい、朝晩の気温10度前後で炬燵が必要。
霧の向こうからかすかにざわめきが聞こえて来るのでこりゃあとうとう幻聴かと思ったら高校生の集団だった、即興らしいでたらめな歌が風に乗って届いてああそういえば夏休みだっけ、とぼんやり思った。
小屋は別荘地の集落からも地元民の集落からも離れた最も寂しい場所にある。車なら早く灯りを見たいと思って飛ばして行く所、なのでたまに夕方や夜に小屋の前、人気の無い道に出ると行き合った車がぎょっとしたようにスピードを弛めるのが面白い。
溶 けそう。
食料と折り畳み自転車と一緒に山小屋に落としてもらった。地震はなんてことなかったみたい、朝晩の気温10度前後で炬燵が必要。
霧の向こうからかすかにざわめきが聞こえて来るのでこりゃあとうとう幻聴かと思ったら高校生の集団だった、即興らしいでたらめな歌が風に乗って届いてああそういえば夏休みだっけ、とぼんやり思った。
小屋は別荘地の集落からも地元民の集落からも離れた最も寂しい場所にある。車なら早く灯りを見たいと思って飛ばして行く所、なのでたまに夕方や夜に小屋の前、人気の無い道に出ると行き合った車がぎょっとしたようにスピードを弛めるのが面白い。