忍者ブログ
ゆめ か うつつ か
[1174]  [1170]  [1157]  [1169]  [1168]  [1167]  [1166]  [1165]  [1164]  [1163]  [1161
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

北京留学中の夏の終わり、韓国人の友人に誘われ、東城区にあるというオールシーズンのスケートリンクに行くことになった。

靴はレンタルがあるので手ぶらで集合、というのがいけなかった。当然のように銀盤上は凍るような寒さで、うっかりノースリーブでやって来たわたしはひとりで凍える羽目になるはずだった。

はずだった、というのは、見かねた韓国人の男の子が自分の上着を貸してくれようとし、わたしは頑なに断り続けた挙げ句、スケートリンクをくるくると、追いかけっこになってしまったのだ。 おかげで体は暖まったが、わたしは「変な子」「頭がおかしいんじゃないの」と言われた。

後から知ったのだが、どうも韓国では男子が女子をいたわり守るのは当たり前らしく、わたしの態度はひどく奇妙に見えたらしい。

上着を忘れたのはわたしの責だし、それで寒い思いをするのは当たり前だと思ったのだけど。身内でもあるまいし、見ず知らずの他人に甘えたくなかった。そのころわたしは未熟で頑なで青かったので、返すあてもない借りをつくりたくはなかったのだ、負けるような気がしたのだ、屈辱だったのだ。

人類学で贈与論を学んだときは、だからこれだと思った。ひとは与えられるばかりでは心理的負荷がかかってゆく一方、だからお中元やお歳暮は同等のものを返すんだし、ポトラッチでは破産するまで贈答を繰り返す、すなわち「返せなくなったら負け」。

今はもう大人になり、ひとから受けた優しさは他人に返せばいいと思えるようになった。
それに、何かに負けることもそれほど恐れてはいない、つもり。

PR
カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
ryu
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]