わたしの欠片。

親知らず、その昔虫歯になったのを自分で叩き割ったせいで処置しきらずにいた根元が、最近にわかにうずいてるなあと思っていたら、今朝、ぽろりと残りの欠片が取れた。

ほとんど死んでいた歯とはいえ、数年の沈黙を経て自然に抜けるとは。痛みも何もなかった、実が熟して落ちるみたいだった。すごいなあ、と、人体の神秘にしばし想いを馳せる。

調子悪いときにきりきりきしんだり腫れたり、完全なる異物がゆえに体調のバロメータにもしていた。

ひまわりの種の形をした真珠色の刺、わたしが生成したんだなあと思うとなんとなく捨てられなくて取ってある。