世の中にあるいろんな愛

立川で、隣席にごく普通の可愛いワンピース女子が座った。

女の子の前には染髪皮パンにスタッズ、チェーンだらけのごついパンクスタイルの若者が立ち、わたしはパンク＝反社会、逸脱志向という発想から、青年が自分の前に立たなくて何となくほっとした。

ワンピース女子は二十分ほど無言でうつむいたままだったが、三鷹に着いた辺りでいきなり前に立つパンク青年の膝辺りを抱えこむように倒れた、ように見えた。

気分でも悪いのかと驚いたが、なんのことはなく、パンク青年の服についていたごみを丹念に取り除いている。青年も不服を唱えるでもなくされるがままで、その空気感、

え！？ ナニ？ アナタたちもしかして、カップル！！？

と新しい驚き。

しかしまた、どういう接点でお付き合いを？　馴れ初めなど仔細に尋ねたくなった。女の子が見かけによらずパンクロック好きとか。幼なじみで彼氏が急にパンクにハマったとか。いろいろあろうな。うん。

似たような事例で、女の子がフリフリ甘ロリータ、男の子はごくありふれた学生風カップルという逆パターンも見たことがある、あれは正確にいえば女子のインパクトが強すぎて男子の印象が全く無いんだな。なんつうかロリータって存在が非日常的、居るだけで亜空間を形成してるつうか。

しかし洋服の趣味が全く合わないのに付き合ってるって、それはもうすごい愛だよね。