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ゆめ か うつつ か
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四君子というのがある。

四季に対応して蘭、竹、菊、梅、それぞれ君子の徳を持つと言われている植物のことで、水墨画の画題としてよく取り上げられるらしい。もちろん、中国発祥の言葉だ。

ほかの三つはいざ知らず、蘭なんてわりと華やかで君子というより艶やかな美女だと思うんだけど、中国では高潔で清雅なふうに見えてるんだろうか。

中華圏の花に対する感覚は日本と違うなァ、と思う代表が、梨の花だ。あまりぱっとしないこの花の、しかも雨に打たれ萎れているところを美女に例えたりする。かと思えば、これでもかとばかりにゴーカな牡丹を愛でたり。まあひとくちに中国と言っても広いし(歴史が)長いし、感覚の差異や移り変わりもあろうけれど。

 ほのかにいろづく秋の菊。

尾篭な話。

ふと思い出したが、そういえば、西洋では蘭を男の象徴に見立て、東洋では菊を後門、つまりは男色の用具とみなしていた。なるほどそれで「君子」なのかねえ、と淑女にあるまじき発想が浮かぶ。でも意味深な花がふたつまでわざわざ「君子」の仲間入りしてるんだもん、勘ぐりたくもなるだろう。






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