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ゆめ か うつつ か
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今、日本でK-POP(コリアンポップス)が流行していると聞いて、ああ、あと十年早ければなあと嘆息した。

わたしがK-POPにどハマりしてたのは約十年前で、留学先の中国でハマったのだった。IMFの支援をうけ韓国経済が回復してきたところで、文化戦略をベースに映画産業に力を入れ始めてたころだ(『八月のクリスマス』は名作だ)。韓国アイドルやダンスグループがどしどし中国でデビューしていた。BOAとかね。

ちなみに韓国は90年代終わりくらいまで、髪の毛を染めた人や露出の高い服を着た人は国営放送に出れなかった。そもそも87年にノテウ大統領が民主化を宣言するまではアイドルグループなんて存在しなかったし、95年くらいにやっと、大ヒットしたロックグループができたほど、芸能関係は遅れている(そのグループのひとりが、現在韓国でも有数の芸能プロダクションを組織している)。

十年位前、わたしがハマっていたころは、芸能関係が遅れているなりに・その模索というか迷走っぷりが面白かった。

大学に入って、ゼミで「何でも好きなものを発表していい」と言われたので、K-POPについて発表したことがある。が、J-POPすらあまり聴く事のないような、洋楽派の先輩にけちょんけちょんに言われて終わった。

歌詞を抜粋して、日韓のポップソングの比較をしたんだけどね。今はよく知らないけど、90年代終わり~00年初めの韓国では、トップアイドルが「愛国心」を歌っていた。「8・15」とかいうタイトルの歌とか。PVで日の丸がめらめら燃え上がってたり、おもいきり反日ソングで、正直日本人にとってはちょい、ツラい内容もあって。でもポップだったりロックだったりヒップホップだったりするの。

わたしは日本の戦争責任について研究しかけて放り出した人間なので、そういう歌は素通りできなかった。





K-POPに対する私的な印象
・K-POPとダンスの相性は良い。これは韓国語がラップに適したことばだからかもしれない。
・社会批判や世相を反映した歌が日本より多い
・剽窃疑惑でよくバッシングされる
・名前の似たような歌が多い
・名前の似たようなグループも多い

                  ・・・エトセトラ・・・



 

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祖母は自分の手や身体、臓器に、毎日お礼を言っているのだそうだ。「よく、こんなに永く保ってくれているね、ありがとう」。そういう発想はなかった。いかにも祖母の年代らしい、ものもちのいい昔の日本人的な心の表れだなあと感心した。服のほころびを直し継ぎをあてだいじにだいじに着るように、自分の手足や髪の毛をいたわりだいじにしている祖母は、90を越えても美しく豊かな銀髪、ピンク色の血色のいい手と爪をしている。

ものの寿命のサイクルが短く、ちょっと不都合が出たらあたらしいものを買い足してゆく、そういうふうに育ってしまったわたしたちは、別段からだに感謝することなく日々過ごしている。からだのことを考えずに生きているわたしたちのからだはきっと、そんなに永くはもってくれないだろう。そのぶんテクノロジーが発達し、髪の毛が無くなったらかつらを、手足がいうこときかなくなったら義手や義足を、というふうになっていくんだろうか。

そう考えたらちょっとこわいな、と思った。999じゃないけれど、機械の体を手に入れれば生身はいらない、そういう時代になりつつあるのかと思って。





『木綿以前の事』には、ある着物がぼろぼろになるまで着まわされると、つぎはぎのコタツ布団となって、そうやって何十年も前の布が残っているという話があった。

ちなみに最近、『新・木綿以前の事』という本を読んだら、戦国時代の衣服事情が記されていたのだが、そこには「おあむ」という少女が13から17まで、四年もの間、夏冬をとわず一着の麻の衣だけをまとって過ごしていたというのだから、すさまじい。

mんちでPSPの音楽ゲームをやらせてもらったところやめどころがよくわからなくなり、気づけば夜中の2時過ぎだった。
ずいぶん昔に、テトリスを夢中になって16時間くらい連続でやったなあ、と思いだした。

m「ゲーム廃人の素質あるよね」

あると思う。





ゲームではないが、韓国語にハマッたときは韓国語の辞書と雑誌を寝食も忘れひきうつしていてルームメイトに「あんたキモい」と言われたりした。何日もろくに眠らず口もきかず一心不乱に辞書を読んでいたりしたので、まあ仕方ない。

どうもわたしは好きなことをやるとき限定で脳内麻薬が出てるらしく、疲れも飽きもまるで感じないんだよね。ある意味無我の境地つうか。

改めて言うまでもなくオタク気質なんだな、本質的に、わたしは。

「コンピューターおばあちゃん」的なインパクトがある。


92歳の祖母が腰の骨を圧迫骨折したので、見舞いに行ってきた。

寝たきりになったと聞いたときは衝撃だったが、そう簡単にひとの精神が変わるものではないだろうと楽観的に考えていた。それでもいざ会ってみるとやはりかなり弱っていて、ことの深刻さがよくわかった。アタマがはっきりしている老人にとってはおむつをつけることが屈辱的であるとよく聞くが、祖母の場合も例外ではないようで。しきりに形見分けのことだの棺になにを入れて欲しいだの言うので、話を逸らせて、祖母の子どもの頃の鞠つき歌を歌ってもらったりした。

「庭で遊んでると、やっちゃんがね、いい歌教えてあげるって、東京数え歌を教えてくれてね。いちばんはじめはいちのみや、 に、また 日光 中禅寺、ここで、鞠を足のあいだにくぐらせてね。

ああ、あのころが、いちばん、楽しかったなあ。

善光寺に連れて行ってもらうと、きれいな鞠が売っていてねえ。ゴムの、色つきの、花柄の鞠。欲しくてねえ。昔はねえ、土地はあるけど、お金はなかったんだよ。おとうさんはハイカラなひとで、ムラでいちばんに洋服を着て、誰からきいてきたのか、ホップなんてこしらえてね、まちに行ってお金に換えて。おばあちゃんがちいさなころはね、ちょんまげのひとも、居たんだよ」

帰ると言うと、「また来てねえ」と子どもみたいにこころぼそい顔をした。あの顔は忘れられない。



その日のうちに姪のAちゃん(2歳)に会った。
祖母とAちゃんは90歳差か、と思うと、なんだかしみじみと時の流れの凄絶さを感じた。






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