ゆめ か うつつ か
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
92歳の祖母が腰の骨を圧迫骨折したので、見舞いに行ってきた。
寝たきりになったと聞いたときは衝撃だったが、そう簡単にひとの精神が変わるものではないだろうと楽観的に考えていた。それでもいざ会ってみるとやはりかなり弱っていて、ことの深刻さがよくわかった。アタマがはっきりしている老人にとってはおむつをつけることが屈辱的であるとよく聞くが、祖母の場合も例外ではないようで。しきりに形見分けのことだの棺になにを入れて欲しいだの言うので、話を逸らせて、祖母の子どもの頃の鞠つき歌を歌ってもらったりした。
「庭で遊んでると、やっちゃんがね、いい歌教えてあげるって、東京数え歌を教えてくれてね。いちばんはじめはいちのみや、 に、また 日光 中禅寺、ここで、鞠を足のあいだにくぐらせてね。
ああ、あのころが、いちばん、楽しかったなあ。
善光寺に連れて行ってもらうと、きれいな鞠が売っていてねえ。ゴムの、色つきの、花柄の鞠。欲しくてねえ。昔はねえ、土地はあるけど、お金はなかったんだよ。おとうさんはハイカラなひとで、ムラでいちばんに洋服を着て、誰からきいてきたのか、ホップなんてこしらえてね、まちに行ってお金に換えて。おばあちゃんがちいさなころはね、ちょんまげのひとも、居たんだよ」
帰ると言うと、「また来てねえ」と子どもみたいにこころぼそい顔をした。あの顔は忘れられない。
その日のうちに姪のAちゃん(2歳)に会った。
祖母とAちゃんは90歳差か、と思うと、なんだかしみじみと時の流れの凄絶さを感じた。
寝たきりになったと聞いたときは衝撃だったが、そう簡単にひとの精神が変わるものではないだろうと楽観的に考えていた。それでもいざ会ってみるとやはりかなり弱っていて、ことの深刻さがよくわかった。アタマがはっきりしている老人にとってはおむつをつけることが屈辱的であるとよく聞くが、祖母の場合も例外ではないようで。しきりに形見分けのことだの棺になにを入れて欲しいだの言うので、話を逸らせて、祖母の子どもの頃の鞠つき歌を歌ってもらったりした。
「庭で遊んでると、やっちゃんがね、いい歌教えてあげるって、東京数え歌を教えてくれてね。いちばんはじめはいちのみや、 に、また 日光 中禅寺、ここで、鞠を足のあいだにくぐらせてね。
ああ、あのころが、いちばん、楽しかったなあ。
善光寺に連れて行ってもらうと、きれいな鞠が売っていてねえ。ゴムの、色つきの、花柄の鞠。欲しくてねえ。昔はねえ、土地はあるけど、お金はなかったんだよ。おとうさんはハイカラなひとで、ムラでいちばんに洋服を着て、誰からきいてきたのか、ホップなんてこしらえてね、まちに行ってお金に換えて。おばあちゃんがちいさなころはね、ちょんまげのひとも、居たんだよ」
帰ると言うと、「また来てねえ」と子どもみたいにこころぼそい顔をした。あの顔は忘れられない。
その日のうちに姪のAちゃん(2歳)に会った。
祖母とAちゃんは90歳差か、と思うと、なんだかしみじみと時の流れの凄絶さを感じた。
PR