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雨の匂いの中、わたしは見知らぬ土地を歩いていた。
すぐそこに山が見え、閑静な郊外の散歩道といった風情。
誰も居ない。
舗装された道路の側溝からちろちろと水が染みだしていた。近づいて見てみると、溝には清い水と一緒に小銭が溢れている。
わたしは、こんなところに小銭があるのは、近くに神社があるからに違いないと考えた。そのとたん、草深いお社が出現する。むっとするほどの草いきれのなか、わたしは片手に小銭を掬い上げた。数えなくても手のひらに800円ほどあるとわかっていた。
その金を懐に、わたしはゆっくり坂を上った。賽銭泥棒をしたつもりはなく、自分のものを取り戻したように気分が良い。
と、不意にそこだけ黄昏色の、ほのあかるい存在感の店が目に入る。ガラス戸を押し開け中へ入ると、オレンジ色の内壁に天井から吊りさがったカラフルなモビールが揺れた。
レジ台には、本物の薔薇を加工した耳飾りのような、繊細な小間物が少しだけ並んでいる。そのほかに、商品のようなものは何も無かった。
長い黒髪の、年齢不詳の女主人が無表情にモビールを飾り付けしているのを眺めながら、わたしはまったく突然に「ついこの前、この店に来たばかりだ」ということを思い出した。
「深く愛することのできる者のみが大きな苦悩をも味わうことができる」←これはトルストイのことば。
*
たまにはちゃんと文学しようと思って。カラマーゾフ~は、「大審問官」のくだりを大学の哲学の授業でやって、そんでテストに出た、そのときわたしが何書いたか忘れたけどとにかくひどい点数だった、そんで「ちくしょうこのやろうカラマーゾフ覚えてやがれ」くらいの気分でいた。
『悪霊』読んで面白かったからとりあえずスタンダードなのも読み直そうと思ってさ。
まず全体の感想。言われるほど長いとは思わなかったし人物が混乱もしなかった、たとえ同じ人物にあだ名が複数ついていようが。話が推理じたて、っていうのかな、起伏に富んでるし読ませるし面白い!
1・カラマーゾフの一家の紹介。怠惰で淫蕩、不道徳、小心で傷つきやすくどうしようもない父祖フョードルの打算的な二度の結婚と、子供三人の生い立ち。
先妻の子、長男ドミートリイ(ミーチャ)は28歳、軍人気質で無邪気なまでの考えなし、情熱的で子供のように感情を表す。後妻の子次男イワンはずばぬけて聡明で頭がよく冷笑的、三男アレクセイ(アリョーシャ)は純粋で善良、誰からも愛される気質を持っている。
そして、フョードルの隠し子と言われる、こじき女の子、召使で料理人のスメルジャコフ。
2・事件の発端とあらすじ。父フョードルが、先妻の遺産を長男から騙し取り、罠にかけようと女を使うが、やがてその悪女グルーシェニカをめぐり、親子で争うようになる。
一方で財産争いの調停のため、アリョーシャが預けられている修道院の長老、ゾシマが立ち会うが、それはとんだ茶番劇に終わる。
やがてフョードルが何者かに殺され、事件の犯人はドミートリイに不利に進んでゆくが・・・
3・裁判。スメルジャコフの自殺。イワンの発狂。子供の死。
*
とりとめない感想。
ドミートリイをめぐる女二人が俄然面白い。ドミートリイの男らしい振る舞いに義理を感じ、彼の婚約者としてふるまう令嬢エカテリーナ(実はイワンに恋をしている)と、ポーランド人に捨てられて金持ちのめかけとなり、才覚を発揮した妖女グルーシェニカ。彼女たちはどちらも、愛を見失っているという点において不幸だ。
それにしてもアリョーシャがいいこで涙がでそうだ。でもわたしはイワン、あの理性の徒、冷徹な人間のくせに、『大審問官』みたいな叙事詩を書かずに居られなかった彼に惹かれる。
実際美しいのよね、この詩。ときは異端狩りにあけくれる中世に降臨したキリストが、氷のような老人の大審問官に「来るのが遅すぎた、もはやわれわれはあなたを必要としない」と、死刑宣告をされてなお、その老人の額にキスをする・・・っていう話なんだけど。
フョードルもイワンもドミートリイも、あのグルーシェニカだってさ、アリョーシャにはみんな、ざんげするのよね。これは救われたがっているひとたちの物語なのだと、それで、思った。そして救われたがっているひとはみな弱くていとおしい。
もっと細部いろいろ思うところあったのだけど、けっこう以前に読んだので忘れてしまった。今日はここまで!
3日目、花火大会があるはず、と、浴衣を着て街へとくりだしたはいいが、街には浴衣どころかレゲエ的ないでたちの人々があふれているのであった。
首をかしげながら観光協会へゆくと……あれ?花火があるの、一日前じゃね??今日はミュージックフェスタって書いてね?
……いやあ 落ち込んだ。
まあでもそれなりに、お店のお姉さんに浴衣ほめてもらったしね、歴史あるU市の街で浴衣着て歩けただけでもいいってもんよ!と mに慰められる。mはオトナだ。
4日目、朝からいい天気だったので、牧場へ。
なぜか一匹だけ囲いから放たれて自由に草を食む羊が。
ひづめ。チョキの形。
後から判明したが、この羊はお客にえさをもらうのが大好きな客寄せ羊だった。チョキ!と飛び掛ってきてねだるのがウケるらしい。人懐こい羊で、突然ンメェー!などと声をあげ、えさ売り場に勝手に入ってきたりもしていた。
牛乳のパッケージにできそうなのどかな牧草地風景。
その後 街へ降りて、こないだから気になっていた民家風のコーヒーショップへ行ってみた。のっけから店主(かわいらしいおばあちゃま)が昼寝しており、だいじょうぶか?といぶかるも、カフェロワイヤルからターキッシュ風までこなすコーヒーの種類の多さにまた目を見張る。
ウインナコーヒー。おいしかった!
夕飯はお蕎麦。
三種類のめんつゆにすりおろし生ワサビ、こたえられませんなあ。蕎麦が苦手なmは豚丼を食べていた。
ごちそうさまでした!
動物好きなmのリクエストで、C動物園へ。
途中で目にした衝撃の看板「モードとムードを売る店」。閉まっているがおそらく服飾の店であろう。
動物園はC山をぐるりとのぼった上にあり、レッサーパンダが有名らしい。雨が降っていてもさすが夏休みの動物園、親子連れがちらほら。このころにはだいぶ雨脚が激しくなり、mは傘を購入。
フラミンゴ~。雨の中も悠然。
件の人気者、レッサーパンダ。確かにカワイイが、うろうろうろうろ、シャッターチャンスを狙うのは難しかった。歩きつかれたところをパチリ。
ニホンザルが雨の中でも天気のときと変わらぬ様子できゃっきゃ遊んでいるのが可愛かった。カモシカやシマウマも、雨が降っても屋根の下に入るでもなく、泰然と構えていた。動物は雨だのなんだの気にしないのかな。まあそうだよな、雨のときもあるだろうしね。濡れて困るような動物は、こんな高温多湿の国では外に展示しないだろうし。
動物と触れ合おう的なコーナーにて。めえめえヤギさん。mの持つえさを欲しそうに見つめつつも、歩き出そうとすると目の前の枝がじゃまをしてなかなか近づけないからまわりっぷり。なんだこのアホな生き物は!
コノハズクの赤ちゃん。
目がおっきくてビーだまみたいだった。小首をかしげる様子がぬいぐるみみたいに愛らしい。
*
そんなに規模は大きくないけど、わりと見ごたえがあった。また天気がよいときに来たい。