ゆめ か うつつ か
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日常はミルフィーユのパイ皮のごとく積み重なる。
それ自体に味は無い、だからこそ中にあるクリームの甘さにありついたときの嬉しさと言ったら。
クリームだけでは味わえないのだ、無味乾燥な日常の味なき味、それこそがアタラクシア(平静の境地)。
あたしはいつでもあまいあまいクリームに満たされて居たいと思っている子供だった、でもエピクロス(悦楽主義者)の真実は節制と禁欲にあるわけで。
欠乏すなわちM的快楽、ひたすらにパイ皮を重ねクリームに憧れ続ける日々の最悪な素晴らしさを識った今は、この甘さが少しだけ
怖い。
それ自体に味は無い、だからこそ中にあるクリームの甘さにありついたときの嬉しさと言ったら。
クリームだけでは味わえないのだ、無味乾燥な日常の味なき味、それこそがアタラクシア(平静の境地)。
あたしはいつでもあまいあまいクリームに満たされて居たいと思っている子供だった、でもエピクロス(悦楽主義者)の真実は節制と禁欲にあるわけで。
欠乏すなわちM的快楽、ひたすらにパイ皮を重ねクリームに憧れ続ける日々の最悪な素晴らしさを識った今は、この甘さが少しだけ
怖い。
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●わたしは浴室で体を洗っている。
脚をもぎ腕をちぎり、流れる血をすすいでやがて白く軽い骨がすきとおるまで、食器を洗うように、宝石を磨くようにひとつひとつ丁寧に扱う。
痛みは感じない。わたしはわたし自身を解体し、陳列棚の商品のようにうやうやしく並べていく。
これら全ての行程を、白いタイル張りの床に置かれたわたしの頭が眺めている。
●美術館の中で迷子。
わたしはとある美術館ツアーに参加している。この歳にもなって引率つきの社会科見学というわけだ。団体客はみな小羊のようにおとなしく、ベルトコンベアで運ばれてゆく完成された製品のように行儀良く進んで行く。単調な道のり。ふと悪戯心を起こしてわたしは道を逸れる。前衛美術の暗い部屋、腰まで埋めつくす紙屑をかきわけ進んでいると、わたしの後ろにはいつの間にかおびただしい数の人間が付いて来ている…。
●どこからかブラームスが聞こえてくる。
残り香のように微かな音を辿って行くと、見知らぬ少年がわたしを呼び止める。
彼はチェロの弓だけを持ち、不安と憧れできらきら輝くまなざしをわたしにそそいでいる。そ
れでわたしは彼の願いを知り、幾分くすぐったい気持ちで言う。
「でも、会ったばかりなのに?」
「どうか、お願いです」
懇願するようなその声に、わたしは黙って服を脱ぎ、少年に体を差し出した。一瞬の後、わたしの体は飴色に輝くチェロと化し、少年はいとおしげにわたしの体を奏で始める。
●果てしなく広い美術館のなかで、わたしは迷子だった。
独りではなかった、わたしの後ろに続く人びとのささめきが絶えずわたしを追い立てていたから。
「間に合わないよ」
「間に合わない」
「帰れなくなるよ」
そのくせ後ろを振り向くと彼らは幽霊のように押し黙ってしまうのだ。独りよりもなお悪い、とわたしは思った。
このままこの薄暗い墓場のような美術館で迷い続けるくらいなら…
わたしは足を止め、とんとんと爪先でリズムを取り始めた。
場所に行くのではなく場所を呼び寄せる呪術、
踊る、7枚のベールの踊りを。天女散花の舞いを。
見る間に風景が砂状に崩壊していく。わたしを追う幽霊たちも薄れ消えて行く。
やがてわたし自身が影になるまで、わたしは踊り続けた。
*
夢のかけら。
脚をもぎ腕をちぎり、流れる血をすすいでやがて白く軽い骨がすきとおるまで、食器を洗うように、宝石を磨くようにひとつひとつ丁寧に扱う。
痛みは感じない。わたしはわたし自身を解体し、陳列棚の商品のようにうやうやしく並べていく。
これら全ての行程を、白いタイル張りの床に置かれたわたしの頭が眺めている。
●美術館の中で迷子。
わたしはとある美術館ツアーに参加している。この歳にもなって引率つきの社会科見学というわけだ。団体客はみな小羊のようにおとなしく、ベルトコンベアで運ばれてゆく完成された製品のように行儀良く進んで行く。単調な道のり。ふと悪戯心を起こしてわたしは道を逸れる。前衛美術の暗い部屋、腰まで埋めつくす紙屑をかきわけ進んでいると、わたしの後ろにはいつの間にかおびただしい数の人間が付いて来ている…。
●どこからかブラームスが聞こえてくる。
残り香のように微かな音を辿って行くと、見知らぬ少年がわたしを呼び止める。
彼はチェロの弓だけを持ち、不安と憧れできらきら輝くまなざしをわたしにそそいでいる。そ
れでわたしは彼の願いを知り、幾分くすぐったい気持ちで言う。
「でも、会ったばかりなのに?」
「どうか、お願いです」
懇願するようなその声に、わたしは黙って服を脱ぎ、少年に体を差し出した。一瞬の後、わたしの体は飴色に輝くチェロと化し、少年はいとおしげにわたしの体を奏で始める。
●果てしなく広い美術館のなかで、わたしは迷子だった。
独りではなかった、わたしの後ろに続く人びとのささめきが絶えずわたしを追い立てていたから。
「間に合わないよ」
「間に合わない」
「帰れなくなるよ」
そのくせ後ろを振り向くと彼らは幽霊のように押し黙ってしまうのだ。独りよりもなお悪い、とわたしは思った。
このままこの薄暗い墓場のような美術館で迷い続けるくらいなら…
わたしは足を止め、とんとんと爪先でリズムを取り始めた。
場所に行くのではなく場所を呼び寄せる呪術、
踊る、7枚のベールの踊りを。天女散花の舞いを。
見る間に風景が砂状に崩壊していく。わたしを追う幽霊たちも薄れ消えて行く。
やがてわたし自身が影になるまで、わたしは踊り続けた。
*
夢のかけら。
「いつか、長い人生が終わるときに、ずっと自分と共に居てくれて、自分のことをよく知っているひとが居る(もしくは居た)っていうことはとても慰めになるんじゃないかな」
←弟が「結婚」について語った言葉だけど、いろいろ興味深い。
まず完璧に結婚を個人の問題と考えてるところとか。
ああそうかぁ、 はじめに自分ありき で 考えると確かにそうなるね。ここには嫁姑の原理や一族(イトコ関係)のしがらみが一切無い。こういう考え方って子供の居ない夫婦やゲイカルチャーに共通してるよね。
共感できるか否かはともかく、いい考え方だなあって思った。
自分のことをちゃんと好きな人間でないと、こういうふうに思えないから。
あたしは、いつか、長い人生が終わるときに、ずっと自分が書いて書いて書き続けてきたものを、誰かがこれから読んでくれるかもしれない、知ってくれるかもしれないって思うととても慰めになる。
*
最小範囲での他人、それが夫婦。
他人だから理解しあうために努力する、その努力が尊いのであって 最初から愛なんてあるわけない。
「愛し合ってるから結婚した」っていう錯覚は大変結構なものですが、現実は「結婚したから愛し合えるよう頑張っている」にちかい。結婚の最低条件は「一緒に居ても嫌悪感を催さないレベル」だろうと思う。
←弟が「結婚」について語った言葉だけど、いろいろ興味深い。
まず完璧に結婚を個人の問題と考えてるところとか。
ああそうかぁ、 はじめに自分ありき で 考えると確かにそうなるね。ここには嫁姑の原理や一族(イトコ関係)のしがらみが一切無い。こういう考え方って子供の居ない夫婦やゲイカルチャーに共通してるよね。
共感できるか否かはともかく、いい考え方だなあって思った。
自分のことをちゃんと好きな人間でないと、こういうふうに思えないから。
あたしは、いつか、長い人生が終わるときに、ずっと自分が書いて書いて書き続けてきたものを、誰かがこれから読んでくれるかもしれない、知ってくれるかもしれないって思うととても慰めになる。
*
最小範囲での他人、それが夫婦。
他人だから理解しあうために努力する、その努力が尊いのであって 最初から愛なんてあるわけない。
「愛し合ってるから結婚した」っていう錯覚は大変結構なものですが、現実は「結婚したから愛し合えるよう頑張っている」にちかい。結婚の最低条件は「一緒に居ても嫌悪感を催さないレベル」だろうと思う。
歓送迎会の都合よい日時を尋ねられ、あれ?おかしいなあこないだ11に決まったんじゃ…って思ってたら、どうやら歓迎会と送別会を別にやるらしい。
そんなわけで今日は歓迎会だった。
忙しい時期に入ったせいで歓迎会をやっていなかったわたしも一応メインの面子だったのだがしかし、来週半ばには送別会で送られる身となるわけで…
歓迎会と送別会の間がわずか五日って、やろうと思ってもなかなかできねーんでないかと思った。
というか、両方呼んでくれる職場の人が優しいんだな。。
そんでもってこの職場、食い道楽の集まりだもんだから、また場所がすごいの。飲み屋とかじゃない、ベイサイドの高級中華フルコース。フカヒレうまかった…ほんと、おいしいもの好きな人が集まってるとこだなあと思う。
それでデザートまでおいしくいただいてたら終電逃しそう。
え?もちろん明日も仕事ですよ。四月に入ってから休みなど一日たりともありませんよ。
そんなわけで今日は歓迎会だった。
忙しい時期に入ったせいで歓迎会をやっていなかったわたしも一応メインの面子だったのだがしかし、来週半ばには送別会で送られる身となるわけで…
歓迎会と送別会の間がわずか五日って、やろうと思ってもなかなかできねーんでないかと思った。
というか、両方呼んでくれる職場の人が優しいんだな。。
そんでもってこの職場、食い道楽の集まりだもんだから、また場所がすごいの。飲み屋とかじゃない、ベイサイドの高級中華フルコース。フカヒレうまかった…ほんと、おいしいもの好きな人が集まってるとこだなあと思う。
それでデザートまでおいしくいただいてたら終電逃しそう。
え?もちろん明日も仕事ですよ。四月に入ってから休みなど一日たりともありませんよ。