ゆめ か うつつ か
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降り残した雨が、陽にきらきらと輝いていた。
水滴が青い紫陽花の上を弾んでゆく、その花がむくむくと動いたかと思うと目のさめるように青い子犬が現れた。深い藍色の瞳をくるりとこちらに向け、なつかしげに尾を振る。撫でてやると、ふわふわした毛の下に透けて見える皮膚が海のように波打っていた。
紫陽花の小路を抜け、街に出ても、子犬はどこまでも着いてくる。雨がすっかり止んだころ、通りすがりの紳士が言った。
「おや、珍しい犬を連れてるね。そいつは花喰いと言って、青い花を食えば青く、赤い花を食えば赤くなる。ちょっと気取ったもんだろ。ま、いろいろ食わせてみるんだね」
してみると、こいつの体が青いのは、青い紫陽花を食っていたからか。首輪もないし、雨あがりの拾いものとしては悪くない。庭には紫陽花も花菖蒲もある、いずれ向日葵が咲くころまでは青紫色を堪能できよう。冬の間は温室ものでも買えばよい。
そうして青い子犬を抱えあげ、照るような陽のなかをわたしは歩きだした。
水滴が青い紫陽花の上を弾んでゆく、その花がむくむくと動いたかと思うと目のさめるように青い子犬が現れた。深い藍色の瞳をくるりとこちらに向け、なつかしげに尾を振る。撫でてやると、ふわふわした毛の下に透けて見える皮膚が海のように波打っていた。
紫陽花の小路を抜け、街に出ても、子犬はどこまでも着いてくる。雨がすっかり止んだころ、通りすがりの紳士が言った。
「おや、珍しい犬を連れてるね。そいつは花喰いと言って、青い花を食えば青く、赤い花を食えば赤くなる。ちょっと気取ったもんだろ。ま、いろいろ食わせてみるんだね」
してみると、こいつの体が青いのは、青い紫陽花を食っていたからか。首輪もないし、雨あがりの拾いものとしては悪くない。庭には紫陽花も花菖蒲もある、いずれ向日葵が咲くころまでは青紫色を堪能できよう。冬の間は温室ものでも買えばよい。
そうして青い子犬を抱えあげ、照るような陽のなかをわたしは歩きだした。
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