ゆめ か うつつ か
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わたしは死体の前で途方に暮れている。
前後の事情は思い出せないがどうやらこの男を殺してしまったのはわたしのように思う。夜が明ける前にこの死体をどうにかしなければならない。思い余ったわたしは、男の体をくるりとひっくり返しきぐるみのように頭から被ってみることにする。骨が少しばかりごつごつとひっかかったが入ってみると案外に着心地が良い。このフィット感、上等のカシミアコートでもこうはゆくまい。
かくしてわたしは男の姿となって明け方の街を歩き始める。男を殺したのはわたしだが、わたしにはその責任をとることができる、というのはつまりこれ以降この男の生活をそっくりそのままひきつぐことができる。償わねばならぬのは男の生命ではなく男の生活なのだ、つまりはこの男が生きていると同様に環境を保てばそれでよいのだ、人間が生きると言うのは自分のためではなく常に周囲のためなのだから。
わたしは悠然とタバコに火をつけ男の家路を急ぐ、夜明かしの言い訳を考えながら。そしてもう永久に以前の自分を思い出す事はないのだ。
前後の事情は思い出せないがどうやらこの男を殺してしまったのはわたしのように思う。夜が明ける前にこの死体をどうにかしなければならない。思い余ったわたしは、男の体をくるりとひっくり返しきぐるみのように頭から被ってみることにする。骨が少しばかりごつごつとひっかかったが入ってみると案外に着心地が良い。このフィット感、上等のカシミアコートでもこうはゆくまい。
かくしてわたしは男の姿となって明け方の街を歩き始める。男を殺したのはわたしだが、わたしにはその責任をとることができる、というのはつまりこれ以降この男の生活をそっくりそのままひきつぐことができる。償わねばならぬのは男の生命ではなく男の生活なのだ、つまりはこの男が生きていると同様に環境を保てばそれでよいのだ、人間が生きると言うのは自分のためではなく常に周囲のためなのだから。
わたしは悠然とタバコに火をつけ男の家路を急ぐ、夜明かしの言い訳を考えながら。そしてもう永久に以前の自分を思い出す事はないのだ。
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