ちょっといい話

そういうわけで午前中に映画観て午後から仕事だった。

今度の仕事は午後始まりなので夜型のわたしにはとても嬉しい。仕事終わりが夜中とかだけど！
まあタクシー代が出るので遅くなっても別に構わないけどね、タクシーの運転手とおしゃべりするの、好き。

しかし今日のひとはちょっと運転が乱暴で、いやうまいんだけど、でも　歓迎会で満腹ほろ酔い状態のところにくねる首都高すっ飛ばし　はきつかった……すごいいい話してくれてたけどにこにこ、あいづちうつのがせいいっぱいだった……


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―ハコブネって知ってます？

―方舟？

―別名白鳥貝っていうんですよ。巻貝でね、横から見ると白鳥にそっくりで。色は白に、バイオリンみたいな黒茶色の縞が入っててね。

―綺麗ですね。

―新潟のね、日本海側の海に、満月の夜になると中国の方からタコが産卵しに来るんです。殻を自分で作ってね。うまいことすいすい二本の足だけで泳いで来るんです。それで、産んだら殻を捨ててね。その殻がたくさん浜に流れ着くんです。明け方にね、それをみんなで探しに行くんですよ。

それでわたしはようやく彼の言っているのは「方舟」ではなく「蛸舟」であると知った。
そういえばそんな変わったタコが居たような気がする、でも気持が悪くて今にも吐きそうだった。

―……素敵ですね、わたしも探しに行って見たいです

―残念だけど今はもうほとんど無くなってしまいましたねえ。綺麗な、宝石みたいな、握ったらぐしゃりとすぐに潰れてしまいそうでねえ、ほんとに綺麗なんですけどねえ。


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奇しくも今日も満月だった。目を瞑って話を聴いていたら、夜の海にひとすじの月の光が澪を引いて、そこにガラスのように華奢なたくさんの貝殻がぷかりぷかり浮んで居るのが見えるようだった。


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帰ってトイレ行って吐いて化粧だけ落として横になってた、気持悪さは眠気を連れて来てはくれないのね。しばらくうんうん唸ってたらだいぶ具合良くなってきたのでお風呂にはいって、今は午前三時。

寝ます。