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ゆめ か うつつ か
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世紀の天文ショーだの46年ぶりだの、あおり文句も華々しく日食の当日を迎えてみれば東京はあいにくの曇天で、都心ではそれでもちらりと欠けた太陽が見えたようだけど、あたしは星座というものは点ではなく線、つまり星座図(絵)がそのまま夜空に浮かんでいるものだと小学校くらいまで信じていたほど天文には疎いので、はなからたいした興味もそそられず日食が終わった。

それでも、まっぴるま、空が急に暗くなるのはちょっと楽しそうだと思った。





しし座流星群の大規模なものが来たときは高校生だったが、姉と姉の彼氏と一緒に車で墓地の丘陵をのぼりたくさんの流れ星を見た。夜中には帰宅するはずが姉の彼氏が車のキーを中に入れたままロックしてしまったおかげで一晩中墓地で寒さにぶるぶる震えながら流星を見て(朝になったら父が迎えに来てくれた)、そのまま完徹状態で学校に行こうとして自転車のまま植木に突っ込んだのを覚えている。

ハレー彗星のときは小学生にあがるかあがらないかくらいで、家族そろって裏戸を開けて夜空を見た覚えがある(実際ほうき星を見たかどうかは記憶があいまい)。次に来るのは70年以上先だから、平均寿命で計算すると家族の中で次回ハレー彗星を見ることができるのはわたしだけだということになって(弟とはふたつほどしか離れていないので、平均寿命が女であるわたしよりすくない)、次に見るときひとりはやだなあと思って
泣きそうなくらい寂しかったのを覚えている。








 

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