何でも観る

映画鑑賞記録。歴史モノから娯楽モノから、統一性もなにもないごたまぜっぷり。

「バーバー」
「サタデナイトフィーバー」
「バッファロー66」
「宋家の三姉妹」

6/18　「バーバー」　
コーエン兄弟監督。ファーゴみたいに後味がどうしようもないのかと思ってたらそうでもなく、ただゲームのバッドエンドみたいな虚無感を覚えた。

床屋の娘と結婚したエド・クレインは、妻が浮気していることを知りながらただすべて諦めて日々を送って居るが、或る日やってきたカツラ＆オカマの客にドライクリーニングの商売を持ちかけられ、妻の浮気相手を脅迫して資金を作る。しかし浮気相手の男は逆にエドを殺そうとして、はずみで男を殺してしまうが嫌疑は妻にかかり、最高の弁護士を雇ったにかかわらず妻は裁判の前に自殺してしまう。エドの生きがいは友人の娘バーディがひくピアノだけになり、彼女を連れ都会に出てピアノの才能をアピールした帰宅途中に、自動車事故に遭う。覚醒したエドを待っていたのは、オカマの殺人容疑による裁判と死刑判決であり、彼は電気椅子に座る。

どうしてここにいるのかわからない、ひとつひとつが断片的、迷路を遠くから眺めるように人生を眺めてようやく見える…なんていう心境も理解できる。どうして自分はここにいるんだ？ってやつ。

エドの役者さんの声がすごく渋くてイイ。かっこいい英語ってかんじなんだ。
物語は全て彼の淡々とした独白ですすむからあまり悲壮感は無い。演出としては、自動車事故に遭ったあとのエドの回想、妻とエドの距離、いいたかったけどいえなかったこと・がラストにつながってるあたりは少し面白い。あとバーバーなだけに毛剃りのシーンが多くて、こういう汚れたものをあえて写すのも独特だなあと。


＊

「サタデナイトフィーバー」

名曲いっぱい。踊りたくなるー。でも、ダンス大会決勝で選んだ踊りは納得いかん。地味だった。プエルトリコ系の派手な人のほうがうまい。ギャグかと思ってたらけっこう虎ボルタが真面目に青春ちゃんしてて
時代もわかりやすかったなー。青年期特有の迷いとか友人の若すぎる死とか・
解説も詳細で、メニューのつくりもこってた。DVDすごい。

DVDのいいとこはそういう細部によって世界観をつくれるとこよね、多方向的な処理。
ビデオだと一方方向なんだけどさ。

＊

「バッファロー６６」

C・リッチかわゆい。アダムスファミリーのウェンズデーの頃より格段に太ったと思ってたけどあれくらいならぽっちゃりですむよ。色白でキュート！ダンスシーンも印象的。足音と音楽。
でもラストはちょっと急展開だった、いやああいうの好きだけど。マトリックスに劇画風アレンジを加えてみたってかんじ。いいんじゃん。幸せな気分になったわ。…主人公のその後を考えるとこええけど。

映像的な演出も、あの白さは印象に残ったし細切れの画面が次々繰り出される冒頭は面白かった。
つか、ヴィンセント・ギャロの経歴の多彩さにびびった。すげー。なに、主演と監督と音楽と…全部やってんの。いいなあマルチな才能。ほんとは全て自分で創ったほうがきっと納得いくんだよね。

＊

「宋家の三姉妹」

ずっと見たいって思っててチラシまで持ってて、なのに観たことなかった不思議。あい齢、慶齢、美齢というドラマチックな三姉妹のことはわりと前から知ってたし、美齢が亡くなったとき（2003）に「そういや観てないな」と思ってたんだけど機会がなくて…下ふたりはともかく長女のことは良く知らなかったし、ましてや親父のチャーリー宋の人となりも知らなかったからな。
まずもって勉強になるね！！
中国独立から戦後までの流れって実はあまり系統だてて意識したこと無かったので。ほんと、この三姉妹の生涯追うだけでその辺カバーできちゃうってすごいや。
戦争における日本の描写も控えめで、まあそれは国民党批判に力入れたからだろうけど、焼身自殺する青年のシーンで思わず泣いた。どうしようもなく思い出しちゃうんだよね、こんなにもちからづよく生きようとしてる人を踏みにじり・その頃の日本はなにをやっていたか…

時折混ざる過去の画像に現在が重なって、構成も充実してて見せ方も旨い。幼い頃の映像でしめるとかね。中国語もとても標準で聞きやすくてよし。主演のマギー・チャン、凛としててうつくしー。