忍者ブログ
ゆめ か うつつ か
[287]  [286]  [285]  [283]  [282]  [284]  [281]  [280]  [279]  [278]  [277
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『完全な真空』 スタニスワフ・レム
存在しない本の書評集。ポストマルケスとはよくいったものだしもとSF作家というのもうなずけた、でもしかし読みづら・・・ごめんあんまり理屈ぽいのはあたしだめなんだ…数学的なのも・
「生の不可能性について/余地の不可能性について」(全二巻 ツエザル・コウスカ著 国立新文学出版所、プラハ)←全部つくりものってのはすご。
面白かった、コウスカ教授の生のためにどれほどの偶然がつみかさなられなければならなかったか。その前提の前提の前提の前提、と話をさかのぼっていくのは物語として成立しうる。物理学的回答を求めるのではなく論理学的回答を求めねばこの話は永遠に終わらない。
「白痴」ドストエフスキー批判、らしい。あたしとしては『罪と罰』をソーニャの視点で書いてくれたものの書評のほうが面白かったような。ソーニャが娼婦であるゆえにあの物語のテーマが変革されてしまうという意味で不可能、というくだり。
・・・しかしまあ、架空の書物の書評の書評ってつくづく空しい行為だな。



『化蝶記』 皆川博子
短編集、初めて読んだのは「丘の上の宴会」だった、乾いて哀しい雰囲気が気に入った、そのせいか、この人の時代物よりは現代ものの方がわたしはすき。
「月琴抄」は学生が病気の友を見舞う途中に雨に降られて見知らぬ女の家で雨宿りする、女の髪は肩までも無くざんばらで、少女(=実は男)は月琴を弾きながら「月琴を弾くと髪が動く」と語る。幻想怪奇ちっくなラストと仄かな同性愛臭。
「橋姫」 六道さん を叔母に持つ少女と冥婚。因縁的。
「水の女」 少年は隣のお家、夫婦と使用人の女の三角関係を観る。男が死んだ後、残された女二人は井戸にみをなげ心中する。水を汲む女と風呂に入る男女は共に愉しんでいたのだ、汲み上げる水に影を映して自分もその仲間に入っていたのだ―
時代ものなら「がいはち」かな。女が強い。



「薔薇と巫女」 小川未明 
病治し、村周りの巫女書き出しがなんとも秀逸。「家の前に柿の木があって、光沢の無い白い花が咲いた。裏に一本の柘榴の木があって、不安な紅い花を点した。その頃から母が病気であった。」
 これだけでぞくぞくする。うまいなあ。



「驚愕の荒野」 筒井康隆
魔界をループする人々の話。仏教的な観念が強いのかオリジナルなのか…魔界には男と猫しかいない、とか、塩肉の話とか独特の歪んだ世界観が面白い。いきなり332話から始まる、きれぎれの物語、主人公が変化する、語り手の子供たちが物語に参入していくのも個人的には面白かった。それにしてもつついさんは人肉ネタだいすきだな・・・「定年食」とかこれ人によってはグロすぎてよめねえぜ・



『黒いチューリップ』 A・デュマ
17世紀、オランダの政治的陰謀にまきこまれ投獄っされたチューリップ師の青年コルネリウスと、獄吏の娘ローザとの恋。側芽(球根)を狙う悪者の思惑と何も知らずに罠にかかる主人公ふたりは読んでてはらはらするし、逆転のタイミングも見事。そうかーこのために切り札をここに…と、作者の手順の鮮やかさに感心した。斯様にストーリーはダイナミックかつドラマチックで、恋と冒険、デュマお得意の大衆小説っぷりだけどやっぱりおもしろい。うまい。そしてやっぱり女の子としてはコルネリウスひどいよね、って言いたい。殿方は女より夢をとるものと相場が決まってるとはいえ、チューリップに嫉妬するローザちゃんはあまりにけなげで…
「花師」ってかっこいーし耽美だし、いつか書いてみたい。
そしてデュマに黒人の血がまじってるのだと初めて知った…ばーちゃんが黒人だったらしい。文壇の「黒い悪魔」ってかっこいいな…

PR
カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
ryu
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]