ゆめ か うつつ か
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国立近代美術館の企画展、「ぬぐ絵画」を観てきた。会期終了ギリギリになってようやく早起き成功。
日本近代絵画史における裸体表現を考えるというコンセプトの展覧会。男性の観客が多いような気がするのは気のせいか。
西欧にはギリシャ以来の裸体讚美の伝統があったが、そういう伝統の無い日本では裸はワイセツとして官憲に取り締まられた、という二項対立の図式が提示してあって、分かりやすいけどちょっと簡単すぎじゃねーの?って思った。
確かに日本は中華の儒教的倫理観に影響されてた、でもそれって江戸期の武士階級の話で、江戸時代の庶民は混浴が当たり前だったし明治期だってその気風は残っていた。『伊豆の踊り子』でも少女が行きずりの男に恥ずかしげもなく全裸で手を振るシーンがあったし、そのころの日本は洋装でなく着物を着てたから、真夏なんてほぼ裸体に近い格好のはず。西欧と違って日本は湿気の多い亜熱帯だからね。
つまり、一部知識階級はともかく日本は元々裸には寛容な国だった。それが、日本に教育(知識階級の東洋倫理)が普及するにつれ「裸はワイセツ」という認識が出来ていったという前提じゃないんかい、と。
そうすると実は日本には
●裸体を隠すべきもの、ワイセツと捉える東洋的文化教養
●裸体を讚美する西洋的価値観
●裸体は当たり前のものでワイセツでもなければ美でもないという態度
の三つがあって、この三つめが実はいちばん日本人にとっては自然だったんじゃないかなあ、とか考えた。
ま、そんなつまらない話はともかく、近代美術館、よかったです。企画展のお金で+常設展+工芸館も見られるから時間はたっぷり取ったほうがよいかも。見応えあるよ!
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