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ゆめ か うつつ か
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限りなく薄めた毒素を砂糖玉にしみこませて服用する「ホメオパシー」の是非についてはマスコミや関連団体が日々かまびすしく論議しているが、わたしも薦められたことがある、もう十年以上前だったかな。アレルギーがひどくて日常生活もままならなかったときのことだ。試してみるのもいいかもな、と思ったが、試したいという意欲は起きなかった。

その程度のものだったが、ついこの間、ガルシア・マルケスの自伝を読んでいて、マルケスの父親がホメオパスの治療者であったことを知った。そのエピソードがとても強烈だった。ある日マルケスが愛人の女のところにいると、女の夫である黒人警官が帰ってきて、銃をつきつけられ殺されそうになったが、警官はやがて顔を覆って泣き出した。「どうして自分がぴんぴんして帰れるか、わかるな」「お前の親父さんがただひとり、誰も治せなかった淋病を治してくれたからだ」。

……ガルシア・マルケスを救ったという事実だけで、とりあえず、ホメオパシーがこの世にあってよかったな、とわたしは思った。

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