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ゆめ か うつつ か
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自分のこころが傷ついていく音を聞いたことがある。

よくガラスだとか鋼鉄だとかいう形容があるけれど、こころはそんな材質ではない。こころが傷つく音はあんなに硬質な、高らかな音ではない。何か非常に軟らかく弾力があるもの(例えばチーズのような)、そんなものにゆっくりナイフを入れるような、異質なものがめりこんでくるような、つぷつぷとした静かな音、静かな痛み。血も出ない、際限なくただ細切れにされていく、そんな感じ。


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熊本出身のKちゃんは日常会話の最中、たまにお国言葉が出る。

大抵の場合は文脈から意味が判断できるのだが、ついいろいろ尋ねてしまう。すごくフレッシュな言葉に出会えた気分なんだな、フレッシュな言葉というか、言葉のフレッシュな使われかたを見れるというか。この言葉でないと伝えられない!っていう感覚的な部分。


で、「アナホゲル」。「穴があく」の意味らしい。

例:「奥歯にアナホゲったたい」

ホゲルっていうのが、いかにも取り返しつかなそうなかんじでよい。


ちなみに結う、結ぶ=「くびる」だそうだ。福岡ではたしか、「きびる」だったが、「くびる」方が断然コワイ。

 二十年くらいぶりに行った。よく晴れた休日だったので、親子連れやカップルで賑わって実にのどか。

 目的は主にコレ。ふわふわ広場!!ようはトランポリンなんだけど、童心に帰って跳ねまくった。たぶんもっともはしゃいでいたオトナだったと思われる。

中学生くらいのヤンキー男子が集団でつまらなそうにぽんぽん跳ねていたのがなんだかほほえましかった。

 白木蓮?園内には梅や山茶花、木瓜の花などが咲いていて、散策にもぴったり。……とはいえ、風はかなり冷たく、花冷えといったところ。

 

日本庭園。池を眺めつつ、緋毛氈に腰掛けてお茶菓子つきの一服がいただけるのは嬉しい。梅と竹が一度に望める小道があって、それもよかったな。ただ、福生のベースキャンプがわりに近いので、日本的情緒にどっぷり浸ろうとしたら飛行機の爆音が、なんてこともある。

閉園ぎりぎりだったけど、わりと楽しめた。今度はもっとあたたかいときに来たい。
 

二時間ほど眠ったあと、まだあかるい日差しの中を、宿場町や温泉などまわりながらゆるりと帰還。

 海野宿。真田十勇士、海野六郎ゆかりの宿。格子窓の古い建物がたちならび、馬籠宿を思い出させるが、もっと小さくてもっとひなびていて、いいかんじ。ただ、道路は車に開放されていて、時折すごい勢いで車が走り抜けていくのが一寸興ざめ。まあ、車って現代の馬だけどさあ。

 ご当地マンホール。町並みを再現!

 これが俗に言う「うだつがあがらない」(出世しない、生活がよくならないという意味の慣用句)の、「うだつ」だそう。もとは、防火のためにしつらえた小さな壁のことらしい。へええ!確かにうだつがある家はとても立派に見える。

 信州には道祖神が多い。

 この公衆トイレの標識が渋い。

   左:ご婦人 右:殿方

ゆったり湯につかって、地元のレストランで母の誕生日を祝って、帰宅。ほんとはうちの車ちゃんも同席させて「おつかれさま」を言いたいくらいだったけど、カレには駐車場でいいこにしてもらっていた。うう、廃車かあ。わたしこの車で運転を覚えたようなものだから、寂しいなあ。

昨今の土日の高速は事故およびマナー違反の車がやたら多いので、かかりあいになりたくない一心で飛ばしてきたら、二時間半かからなかった。最高記録!

 ここの野菜とパンがうますぎてたまに夢にみる。

両親と三人で、山にゆく。長年乗っていた車を明日廃車することになり、お別れドライブの運転要員として、同行。久々に明け方に起きた(というか、起こされた)。わたしの担当は夜なので、日の出を拝んでからはひたすらぐうすか眠り続ける。

 朝もや。

思ったより雪解けが早かったので、親父には「まだ早い」と言われつつ・もしかしたらと、ふきのとう探しに裏山へ。残雪が輝いて眠い眼にまぶしいなか、いろんな動物の足跡を追うのも楽しい。



うしろにひとつ、前にふたつの足跡は、うさぎだそうだ(そういえば、うさぎとびは後ろ足をそろえる)。

 チョキ!いのしし。

 狐かたぬきか。

 これは、人間の。


 雪をかきわけ山の中、ひだまりにぽつんとひとつだけ みつけたふきのとう。そこだけ春が咲いてるみたいに、あかるい。よく観ると枯葉や泥におしひしがれて小さなつぼみが点在していたが、採らずにそっと泥を除けて残してきた。もっと大きくなってからまた誰かが、採ればいい。

きつつきが虫を探す音がココココココココ、春の空に響いていた。寝不足のアタマには、春のすべてがひかりかがやいて脳髄に突き刺さるような気がしたので、小屋に戻ってこたつで再び眠りほうける。
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