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ゆめ か うつつ か
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銀いろの小雨が絶え間なく降り続いている。

わたしは灰色の塀に囲まれた狭い路地に居た。アスファルトに固く鎧われた道は濃く滲むばかりで、拒まれた水の流れが幾筋もの小川になり、やがて逆巻く奔流となる。くるぶしまで水に浸し流れを辿ってゆくうちに、いつしか濁流のなかにさまざまな生き物が見えてきた。ザリガニや鮒、蛙、沢蟹……足もとにちょこちょこと走り出ては消えていく。

目を上げるとそこは町はずれの駅だった。ホームには電車が待っており、わたしが乗ると待ちかねたように走り出した。車内は程よい混み具合で、車窓からはのどかな田園風景が見える。田畑には至るところ小川や用水路が通じており、ちょっとした水郷だ。雨は銀糸のように細くなり、けぶる空の彼方にうっすらと白い山が見える。

終点にはすぐ着いた。わたしは電車から降りなければならなかった。たくさんの人が無言でわたしを追いこし、ばらばらと散っていく。つられて駅を出ると、そこはさっき窓から見えた白い山の麓だった。山はいちめん南国風の白い巨大な石墓に覆われていた。

それでわたしは、先ほど周りに居た人々はみんな死んでいたのだ、と気付いた。



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