総武線のかほり。

総武線沿線で、電車を待っている力士を見かけた。

総武線は両国や錦糸町のあたりを通るから、いきおいそのあたりに部屋を持つ力士たちが利用するのはよくわかる。しかし総じて総武線のホームは狭いので、それでなくとも昨今一連の相撲界における不祥事に身の置き所もなさそうな巨体をもてあまし気味に、柱の影にちょこなんとおさまっているのは、そぞろ不憫をもよおした。

そうしてわたしは、以前はちみつの練り香水をつけたとき、Tさんに「力士の髷の臭いがする」といわれたのを思い出した。確かに美々しく結い上げられた髷からはなんともスイートな香りが漂っており、「スイーツな香りのデブ」のきもちわるさが何となく理解できた。

（相撲好きなひと、また相撲取りのひと、ごめんなさい。この場合の「デブ」はきわめて客観的な事象を捉えた表現すなわち「太っているように見えるひと」くらいの意味です。その見事な脂肪の下に鍛え抜かれた筋肉があるのは知っています）

鬢付け油＝櫨・椿＝芳香。

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ちなみに総武線は秋葉原も通っているので、真夏には異臭を放つオタクさんも散見する。一億総オタクとまではいかないが、宮崎勉事件のころよりはだいぶスマートなイメージになり市民権を得てきた日本のオタクにもいまだそういったオーソドックス＆ストイックなオタクも居るのだ、と思っておくことにしている。