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ゆめ か うつつ か
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耳の奥で カンカンカンと遮断機の悲鳴が止まらない、と君は言った。

「やめなさいやめなさいって言うのよ、そのたびにわたし、飛び込むのを思いとどまったわ」

そう語る口調は明快で、かえってぼくをかなしくさせる。

「世界はどうしてもわたしになつかない、わたしも世界になつく気はない。ただ何もかもひどくめんどうくさい気分なの、わかるかしら?」

「ぼくにわかるのはぼく自身のこころだけだ」

「そうねあなたはつめたい人だわ」
「ぼくはつめたい、でもぼくは」

「待って・わたしあなたが何を言おうとしてるか知ってる、あなたはわたしを愛してると言うんでしょう」

「そう、ぼくは君のことを」
「愛してる?」
「そう」
「誰よりも?」
「そう」
「わたしのために、あなた、ここにいる?」

ぼくはうなずいた。君はうんざりと首を振る、

「ああいやね、『あなたのためにここにいる』なんて、陳腐な台詞。
生きる理由を他人に委ねるなんざ浅ましいと思わない?
どうして自分のために生きていると言えないのかしら。ずるいわ」
「そうだね。ぼくは、ずるいんだ」

肯定し続けるぼくと、否定し続ける君と。

「もうたくさん、もういいわ。いらない、他人の言葉なんて。
ねえわたし、他人の考えてることなんてすぐにわかるの、
知りたいのは自分なの、自分の考えが一番わからないの」
「わからない?ほんとうに?」

君もぼくを愛してるのに?

「……そうね、わかることもあるわ」
「何?」

「愛なんて、そんなものまやかしだということ」

「まやかし、それも愛だよ」

同じことなんだ、
ずるさもまやかしもたわごとも偽りすらも愛なんだ。


「そんなことを教えないで」

お願いだからわたしを煩わせないで、わたしが向かい合いたいのはわたしだけなの、と呟く君に、
ぼくは容赦なく囁く。


「愛してる」





生きてて良かったというよりは 今まで死ななくて良かった と いう方が正確だろう。

恋をした、それが感想。

恋をしたら死にたくならなくなるかと思っていたけどそうでもないことも判明した。それはまた別の問題なんだな。誰かを恋うることと自らの実存はべつのもの、だからわたしには自殺はできるが心中はできないだろうと思う。



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