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ゆめ か うつつ か
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mは「ベッドでは寝れない人」で、旅行の際は和室を選ぶよう気を遣ったりするのだが、和室だと「とても高級な宿」か「とても低級な宿」かの両極端の場合が多く、ちょうどいいものを探すのに苦労する。

それでちょっと考えたのは、日本人は、寝床が固いのはそんなに苦にならない人が多いようで、逆に、掛け布団にはそれなり凝る人が多いように思える、ってことだ。

これは西欧とは逆で、以前も例に出したアンデルセンの「本物のお姫様」という童話の挿絵では、何十枚と重ねた羽根布団の上お姫様がちょこんと乗っていた。日本では、羽根布団といえば当然上掛けの布団だが、西欧では敷布団をも指し、かの地では掛け布団よりも敷布団がふかふかであるべき、という価値観につながると思われる(ソファとか、ふかふかのものに囲まれたいっていう発想は西欧的だよね)。

思うに日本人は、敷き布団にはこだわらない、というより「なくても平気」な人がわりと居るのではないかな。平安時代の寝具は自分の着物もしくは「衾」といって、主に上にかけるものしかなかったようだし、日本の枕が固くて高いのは、床と地続きになるのを避けるための発想のような気がする(西欧では寝る場所そのものを高くして、ベッドという空間にしているしね)。

まあ、西欧は日本より寒冷地で、上下から暖めないととても眠れないってのもあったろうけど。

西欧の枕がわりと平たいのは、寝る場所そのものを高くして区切るという、「日常空間」と「寝床」との差別化がはかられているからではないかとも思った。


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