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ゆめ か うつつ か
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霊感の強いタクシー運転手に一年ぶりくらいで再会し、霊現象についていろいろ意見を交わしてきた。

「いやあ、いろいろお乗せしましたが、こういう話したのは、正直お客さんだけですよ」といわれた。妙齢の女が怪談に夢中とはよほどの変わり者と思われたらしい。しかし、ナマの体験談ってめったに聞けないもんなあ。わたし今まで生きてきて、わりと機会があればそう言う話を尋いてきたほうだけど、それでも伝聞でなく、「確かに霊体験しました」というオリジナルの事例は二人しかきいてない。

ひとりは留学中に会ったJで、「聴こえる」系の話をよくしてくれた。枕の下から渦巻いてラップ音が聞こえるとか。幸か不幸かこの子の場合はハタチすぎくらいからそういったことに縁遠くなってしまったという。

で もうひとりがこの運転手さん。「金縛り」「ラップ音」「視える」系すべて網羅のツワモノ。なんでも高校まではまったく霊感ゼロだったのに、自動車免許合宿で出会った他校の子がものすごい霊感の持ち主で、その子としばらく一緒に居たら見えるようになってしまったという。この話は、数ヶ月~半年ごとくらいに再会するたびに同じ話を繰り返ししてもらっているので、嘘やつくりごとではない。なんていうのかな、「オリジナル」としか言いようがないリアリティのある怖さなんだよね。

ま、怖い話はなるべく割愛。

この運転手さんも、ここ数年はそういうことは起こっていないそうで、そういうのってやはり、思春期とか不安定な時期にもっとも多くて、働いたり生活やメンタルが安定してくるとおさまるもんなのでは・と尋ねてみると。

「私の場合は、父が亡くなりまして、それから意識が変わりましたね。なんかこう、身近な人があの世へいくとまた感覚が変わりますね」

あーわかる。わたしも去年ばあちゃんなくなったけど、いざとなったらばあちゃんが守ってくれるって思うもんね。「あの世に味方がいる」ってかんじでさ。

そういうわけでなんかしみじみと霊魂について思いをはせてしまった。

非現実的だの、科学的な根拠がどうの、「いる」「いない」の話じゃなくてさ。
なんでそういうものがあるとわたしたちは思うのかっていう話。









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