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ゆめ か うつつ か
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とり


鳥籠にいろとりどりの小鳥が入っている。珍しい南国の鳥たちの、やさしいさえずり。わたしはこの宝石のような鳥のどれを持ち帰っても良いのだ。

鳥たちに目を奪われてあれこれ迷っていると、不意にがああとしわがれた声がする。ふりむくと、床の上、からすの子供がぴょんぴょんと飛び跳ねてこちらへやってこようとしている。まだ羽も生え揃っていない子供とはいえ、私の顔ほどの大きさはある。わたしは思わず数歩後じさったが、そいつは嬉しそうにがああと泣いてわたしの後を付いてまわった。親と勘違いでもして居るのか、甘えた声音で首をかしげ、そうして戸惑うわたしの肩にぴょいと取り付いた。鋭い爪が肩にくいこむかと思ったが痛くはなかった、ただずしりとあたたかい重みを感じた。

こがらすはわたしの肩の上でしきりにわたしの顔を覗き込もうとし、わたしはくろびかりする嘴に目をつつかれそうで顔を背けてばかりいる・・・・





わたしは弟と車の荷台に揺られていた。車はどこともしれぬ山の中を走っている。あじわいの木が高く、見たことも無いほど高く茂って、空は一面あじさいの花で埋もれるようだった。しかし初夏というわけでもない、なぜならあじさいの真横には赤く色づいたもみじがはらはらと散っているのだから。

空色の花がそのまま空に溶けるようだとわたしは思った、

やがて空が(花が)少しずつ青の度合いを深め 紫色になり、紅のもみじにまじってくる頃に、わたしたちはようやく山頂へとたどり着いた。車を運転していたのは三人のみしらぬ男の子だったが、彼らは車を停めるとわれさきに山の上の洋館へと駆け込んでいった。わたしたちは慌てて彼らの後を追ったが、ほんの数歩の距離だというのに私も弟も彼らに追いつくことはできなかった。

その洋館の扉には チョコレート博物館 という看板がかかっていた。閉館は六時だった。時計は五時半をさしていたので、わたしたちはあわてて中に入り、あたたかいココアとチョコレートケーキを注文しテーブルに付く、あいかわらず自分が何のためにここに居るのかよくわからなかった。よくわからなかったがココアは温かい、それでもう何もかもどうでもいいような気がした。


←せめてケーキのひとつなりと・・・食べたかったな。美味しそうだったのに。

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