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ゆめ か うつつ か
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どこからか、天地をつんざくような音が響いてきて、いつまでも鳴りやまない。わたしは冷静に、対話相手に

「ちょっと待ってて、ケータイのアラームが鳴ってるから止めてくる」

と告げると、ぱっちり目覚めたのだった。

まさに夢と現実の間。




Kさんの腹には赤ん坊が透けて見えた、

ふりあおぐと、赤い岩山がくっきりと荒々しい陰影を見せている。雲がしゅうしゅうと通りすぎてゆき、なにか凄惨な景色にわたしはうつむく。いつの間にかKさんは消え、足首まで真っ白な雪が積もっていた。





わたしは何となく歩いている。

のどかな田んぼ道を抜け、木漏れ日の杉林を抜ける。苔むした地蔵や稲荷のしっとりとした緑がびろうどのように滑らかだ。

見下ろすと、川原では狐の嫁入り。かわいらしい花嫁が水を渡ると、赤い牛がその後を追いかけていく。

道は傾斜を増し、山道に差し掛かる。それでもまだ歩いていくと、寺にたどり着いた。奥殿にはお祓いを受けないと入れず、仕方なくわたしも正座する人々に交じり読経を受けるが、やがて閑を覚えそこを抜け出す。
気儘に御堂を覗き歩いていると、「いをの間」と書かれた小さな部屋がある。壁には箱もろとも人魚のミイラが打ち付けられており、わたしはそれを見た瞬間から、水が恋しくてたまらなくなる。きよらかな水を浴びたい、滝に入りたい……
と、突然がらりと襖が開き、瞑目の坊主に喝破された。

「お前さん、人魚に憑かれなすったね」



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