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ゆめ か うつつ か
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私は独り雪山に登っている。

真昼である。

眩し過ぎて何も見えず来し方を振り返ると、灰色の雪がごつごつと固まる向こう、絶えず風に吹きちらされヴェールのような粉雪に霞んで、緑の森が広がっている。麓の街は鏡の欠片のようにキラキラと光を反射し、わたしの眼を刺すようだ。

ずいぶん高くまで来たなあと思う。

しかしこの先一体どれほど進み続ければよいのだろう、進んだ先に何があるのだろう、わたしはどこへ向かっているのだろう。

頭がくらくらして思わず膝を着くと、凍った雪のそこかしこに足跡が入り乱れているのが見えた。わたしの前に誰かが居たのだ。

おそらくは、だが、しかし、そうだ。

わたしの前に誰かが居て、わたしの後に誰かが続く。

そうしてわたしはよろめくように立ち上がると、重い脚を引きずり、光の中を進みはじめた。


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