ゆめ か うつつ か
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スーパーの鮮魚コーナーで、
白い棺のような発泡スチロールの箱に収められた冷凍の烏賊たちが、
あるいは足を同じく不運な同胞に絡め、あるいはわが身を抱きかかえ、
よじりひねりもだえていて、
なんだか凄惨なのであった。
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聞いた話によると、烏賊がいちばん旨いのは十一月だそうだ。
わたしは小さい頃「いかそうめん」がやたら好きで、それはやはり何かの本の影響だったのだけれど、釣りたての烏賊を細切りのそうめん状にして、山葵を溶かした醤油につけてスルスルいただく・・・・・・という情景に憧れて、よく他人の分まで奪って食べていた。
二十代に入ったころ、さすがに「いかそうめん」にも飽きが来て、それまで好んで食っていたのが返って敬遠するほどになったのだが、両親はいまだにわたしが烏賊を好きなものと思い定め、時折夕餉に饗してくれるのがなんとも面映いのであった。
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