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ゆめ か うつつ か
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親父と寄生虫について会話してて、肥溜めの話になった。

肥溜めについては兼ねてからさまざまな書物で目にしているが遺憾ながら実物を見たことは無い、と言うと、
「何だそんなもん俺が小さい頃はいっぱいあったぜ」
…などとえばるので、
「もちろん落ちたよね?」
と尋ねてみた。

ある一定以上の年代の男性にとって、「肥溜めに落ちた思い出」はこのうえない悲哀と共に、のどかに美しい田園的故郷を思い出させる・という話を思い出したからだが、しかしほんとに落ちてるとは思わなかった。笑。

「茶碗(*花火を打ち上げた後の殻の通称らしい)追っかけてて空しか見てなかった、いつの間にか畑に踏み込んでてハマった」
爆笑。

「へこんだ?」
「うん かなり…」
大爆笑。

しかしあたしの脳内イメージ肥溜めはわりと水分多め、擬音で言うなら「ぼちゃん!」と落ちるのかと思ってたら、

「上の方は乾燥してんだよ、 ぶすっ て感じかな」

…リアル!





花火の殻の拾いっこ遊びとか、田んぼに氷張ってスケートしたとか、そういった話をいろいろ した。


考えてみればあたしの親父はちょうど敗戦→占領下→経済復興→バブル→不景気、とゆー激動の日本を生きてきた年代で、

「俺 子供の頃、自家用車なんて一生かかっても持てない、夢のまた夢のシロモンだと思ってた」

って呟くくらい(今彼は自家用車を二台持っている)、日本が一番変化した半世紀をあますとこなく生きてるんだよね。

変化の前後とその過程を見て来ている、それって贅沢だなーってちょっと思った。生まれてくる時代は選べないもんね。

例えば明日にでも戦争や地震や天変地異が起きるかもしれないとあたしはすぐ考える、何十年もあとにあたしはこうやって自分の人生を語れるかしら・と不安になるから今書いておく。


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「俺は、本をたくさん読んでいる人間ていうのはさぞかし人間ができてて、何でも解ってて、悩んだり困ったり人とケンカしたりしないもんだと思ってたよ」

って親父にしみじみ言われた。

そんなわけないじゃん!

むしろ普通の人より人間ができてなくて何も解ってなくて悩んだり困ったり諍いしたりするからこそ、少しでも本を読んで自分を高めなきゃいけないんじゃん!

って言ったら納得された。

ア・プリオリな知識なんて現実には頼りにならないことが多い、知識と経験はどちらか多過ぎても少な過ぎても不安定なものだよね。
28時間で東京⇔秋田間往復した60過ぎはご機嫌で明け方帰宅してくると一時間後に再び出勤してゆきました。

どんだけ元気なの。





教え子は見事全国優勝を果たしたそうだが 優勝したことよりも 親父が車で秋田まで行って帰ってきたことの方がすごいって言われたらしい。







今(23:00)帰ってきて「これから秋田だ!」って言ってまっすぐ車で出てっちゃった…目と耳を疑った。

教え子の大会、前々から観にいきたがってたのは知ってたけど明日だなんて…秋田だなんて…ほんとに行くなんて…飛行機の便も電車の便も調べてなかったなんて…さすがあたしの親父。60越えてるとは思えない浅はかさと行動力。

風邪治ってたら同行するんだけども。


親父と御茶ノ水で待ち合わせたとき、「今日はよく晴れていたからさっきまで向こうに山が見えていたんだ」と言ったのには驚いた。御茶ノ水で山を探すのはうちの親父くらいだ。遠いとこばかり見てるんだなあと思った、足元ばかり気になっているあたしにとってはうらやましい話だ。

ビルと車と人に囲まれた街でもそういうものを探そうと思う 探そうと思えるというのはすごい。

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