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ゆめ か うつつ か
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夏の夜は怪談だよね、と思いながら遠野物語や耳袋、聊斎志異、とんで小泉八雲や岡本綺堂の随筆なぞを捲っている。とかく寝苦しい夏の夜は、すらすら読める短編がいい。

『文豪怪談傑作選』(ちくま文庫)より、なかなかにぞっとできる話をひとつ。

百物語の座で、ある男が、かつて惨殺された尊王志士「田中河内介」父子の末期の話をしようとする。ところが、前口上を述べたところでいつのまにか話は元に戻り、同じところをぐるぐると話すようになる。そうして「カワチノスケは、カワチノスケは…・・」と、ついには死んでしまう。

「田中河内介」の話だが、さまざまな作家のバリエーションがあって面白かった。言い伝えでもなし、同時代の、同体験の話でもあるのに、作家によって多少の差異があるのは、怪談ならではというか。

「口裂け女」や「人面犬」、「トイレの花子さん」などの話にも瞬く間に亜種・変種が出来たものだ。こうした流言蜚語や都市伝説というのはたいてい創作者不明だが、そうしたクレジットが無いからこそ、自由に改変されてゆくのだろうと思う。

 

さて 「あくのじゅうじか」は、怪談に見せかけて実は笑い話だった、という言葉遊び(「悪の十字架」=「開くの十時か」)だが、・・・・・・・・・・こういうくだらないのってほんと、誰が考えてるんだろね。すごいよね。


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