忍者ブログ
ゆめ か うつつ か
[256]  [255]  [254]  [253]  [252]  [251]  [250]  [249]  [248]  [246]  [245
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

元岡っ引の半七の名推理が冴える捕り物帳。

日本のホームズといわれるとおり、理屈がしっかりしてて常に現実、事実に基づいた半七の推理は冴えてるんだけど…何だかイマイチ…、事件のトリック、肝心なとこは全部半七が喋っちゃうので読者は推理に参加する楽しみがあまりないかもなあ…もうちょっと冒険的スリル要素があったほうが読みやすいかも、と、最初は思ったけど、慣れてくると段々半七の語りに引き込まれて、まるで自分が傍らで話しを聞いてるみたいな気分になってくるから面白い。そしてなんといっても江戸風物の描写!!杉浦ヒナコさんが絶賛するのもわかる。

あと、半七爺さんがえらい男前。芝居好きで昔かたぎだけど、家にはランプなんか仕込んで、新しいものも興味たっぷり。いなせだ。声に出して読むのも良い。それにしても綺堂は博学だなあ…


*ネタバレあり・随時増加


4/14
「河豚太鼓」 河豚の皮で作ったでんでん太鼓を手がかりに、行方不明の子を探す。そのころ普及してきたばかりの種痘を恐れて子守の下女が主家の子供を攫い隠してしまう女中の話。

「菊人形の首」 幕末江戸の異人についての話も面白かったけど、管狐を使う狐使いの女が出て来て、江戸期の信仰の一面が見えるのが面白い。

「十五夜御用心」 四人の謎の死骸が寺でみつかる、閲微草堂筆記か元ネタ。綺堂の中国怪談集は持ってるし、彼が中国文学に詳しいのは知ってたけどうまく謎を解いたなあ…というかんじ。新劇の脚本だったものもある、だから文章がなんとなく、硬い割りにあっさりしすぎてるっつうか。内容もなんか短いわりにドラマ性たっぷりというか…

5/7~
「鷹のゆくえ」 遊郭の帰りにお鷹を逃がしてしまった鷹匠を救うため半七がんばる。鳥取りの描写とか、お蕎麦たべるとことか、風俗読み物としても面白い。

「津の国屋」 大店津の国屋をめぐる陰謀。怪談と見せかけて謎解きものというのが無粋だけど、その無粋さがまた良いというか。話しがよく出来ている。幽霊におびえる文字春師匠がかわゆい。

「三河万歳」 約束していた才蔵(万歳の相方)が現れずに困る万歳。サイゾウと万歳って正月限定の契約で、生国がちがくても良かったのかー!それで商売成り立つんだからすごいよな。一年に一度、正月だけ集う…江戸における万歳の仕組みを知った。事件自体よりそっちの話のほうが面白い…

「槍突き」 今で言う通り魔の話だけど武家の息子が女装して犯人をやっつけようとして黒猫を身代わりに置いておくくだりなんかは展開がよめなくて面白かった。

「お照の父」
「向島の寮」

「蝶合戦」 絵面がきれい。南米で蝶が群がり舞う話を思い出した。日本でもあったんだなあ。

「筆屋の娘」 美人姉妹が舌で筆を舐め整えてくれるから繁盛する筆売り屋の話で、トリック自体はバレバレなんだけどなまめかしい情緒が○。

「鬼娘」

「小女朗狐」 いぶし殺された男達。墓を荒らす狐。犯人の幼さがいたいたしい…でもあだ討ちなら大量殺人も許されるんだな、すげえ。

「狐と僧」 
「女行者」 
「化け銀杏」


「雪達磨」 いつになく大雪の江戸、雪だるまの中から死体と南京玉。贋金作りの材料に南京玉が使われるなんて知らなかった。しかしそもそも南京玉のイメージがよくわからない…

「熊の死骸」 火事場に現れた熊から娘を助けた男が、その娘に恋慕して殺す。熊の死骸を盗んだやつらが現れてややこしいことに。熊肝ってやはり高価だったのね。

「あま酒売り」 九州の蛇神の血をひいた女の甘酒売りにであうと、熱を出し死ぬ。その女を連れて江戸にやってきた男が、女の母に狙われ…という話。蛇神の血筋は結婚もままならなかった、以前ゼミで犬神の話をきいたことを思い出した。甘酒の固練りってどういうものか挿絵が欲しい…

「張子の虎」 召し取りの加勢をした遊女がお上から褒賞され有名になる、その女が殺され枕元に張子の虎が・というもの。話の筋からなんとなく復讐ものかな、ということは読めたけど半七鋭すぎ。

「海坊主」 海から現れ生魚を食す奇怪な男の話。実は前科者で島流しにあっていたのを、得意の泳ぎで船から船へ渡り歩いて次第に江戸に近づいた。話しはかなり面白い。江戸時代なら妖怪だと信じてしまうひともいるだろう。

「旅絵師」 この話がこの中じゃ一番ぐっときた。ロマンス活劇仕立て。隠密の話も興味深い。お庭番って一生に一度勤めればいいのかー、とか。隠密で旅絵師に扮して出た男が奥州の大店の娘を救いその一家に世話になるが彼らは隠れキリシタンで、男はまりや観音の絵を描くことを頼まれ・という筋。娘がけなげ。

「雷獣と蛇」 昔の人は雷を恐れたのだなあ・化をに引っかき傷=雷獣に襲われて死んだ、と結論するあたり浅はか・蛇の話しはおまけみたようなもの。蛇玉は怖いけど・・・

「半七先生」 半七の家の「報恩額」由来。手習いに行った少女が先生にしかられ姿を消す、謎は少女の兄の付文にある。おいおい兄ちゃん…といいたくなる…死人が出ないのでほっとした。

「冬の金魚」 冬に温水で生きる金魚を使ったぺてんにまつわる殺人事件。ほんとにこんな金魚いるんだろか…

「松茸」 熊谷から献上ものの松茸を運ぶ男がキセルをかごに刺しておいたことをとがめられ出奔、同郷の大店の娘が江戸に嫁いでるのに出会い、その丙午生まれをたねに脅す。こういったことで出奔してしまうとか、こんなささいなことで離縁されるとかそのへんの時代背景が既に興味深い。

「人形使い」 仇役を演じる人形使い同士が二人ながらに死体に。人形のたたりオチ?半七にしてはおどろおどろしいオチ。

「少年少女の死」 おもちゃの水差しに毒、二人の男の子が死亡した話しと、少女のかどわかし。

「異人の首」 異人の首をちらつかせ商家で攘夷の資金を脅しとる悪党の話。イギリス人ロイドが遊女にいれあげた背景をつきとめた半七、ヨコハマで大活躍。蝋人形の首だったことが判明して落着。

「一つ目小僧」 一つ目小僧の怪異から15両の鶸をだましとられた鳥屋。小僧はは按摩で、そこから犯人一味をあげる。鳥屋ときいてつげ義春の漫画を思い出した。
 
 ・
 
「仮面」 古物商の仮面をめぐる、能役者と若い侍二人の買い手。てっきり詐欺の話かと思っていたらあれれ、と思うようなオチだった。それってありなんだか…

「柳原土手の女」 妖怪探索から、心中へ。醜い娘のための親心に泣ける。

「むらさき鯉」 小石川と牛込の間の御留川ご禁制のむらさき鯉をめぐる話。密かに盗み釣りをした町人のもとに、鯉を返してくださいと女が尋ねてくる。化け鯉の正体は…というお話。これ中国の志怪に似たような話が合った。そっちは論理的なオチはついてない、本物の怪談だったけど。

「三つの声」 これはまっとうな推理ものだった。三人の男が川崎大師にお参りに行く待ち合わせをしているが、一人が死体で見つかる。男の妻が聞いた三つの声を手がかりに、半七の推理がさえる。

「金の蝋燭」 金の芯に蝋を塗った蝋燭を持った女の身投げ。亭主への意趣返し。『権門』賄賂のこと。菓子折りの中の小判に同じ。ほんとにやってたんだな…

「ズウフラ怪談」 Rofle(オランダ語) 遠い人を呼ぶためのラッパ。なまってズウフル、ズウフラへ。江戸の滑稽本「和合人」にも出てくる。これを使って幽霊の声を演じてイタズラしていた男と、不倫の始末に道場のっとりの陰謀。もりだくさんな一品。

「大阪屋花鳥」 吉原の女娼妓、付火で島流しにあっても泳いで帰ってきたというすごいあねさん。この前置きからいきなり浅草の商家の息子と貧乏武士の娘のシンデレラストーリーにうつるのだけど、後でちゃんと話が繋がってるあたりがすごい。花鳥の悪役ッぷり、牢名主っぷりもすごい。いろいろな話が次から次へ出てきて幻惑させられるけど、最後には掌の上で収束してるのが名人芸。

「正雪の絵馬」 江戸時代の絵馬マニアの話。いかな大店の主人とて偽者の絵馬でひっかけられたあげくその絵馬抱えて家出とは、まさに絵馬狂い。それにしても絵馬を盗んでも当時は罪にならなかったのだろうか…いや、今だって罪になるのか知らないけど…

「大森の鶏」 半七、川崎参りの途中鶏に追われる女とでくわす。それが別の殺しにつながって…という話。鶏って人間を識別できるのかな…主人を殺された鶏が、仇の女を覚えていて追い掛け回すなんてことあるんだろうか…半七みたいな稼業のものは信心深かった江戸時代。今の警察官は神頼みなんてしなそうなのに比べると、それでもまだずいぶんと人間らしい。

「妖狐伝」 鈴が森の狐のからくりは南蛮船のアイテムだった。マッチは火の玉、靴ずみで顔をなでるとか、そういうお遊びしてみたいと思う。しかし同名の女と同名の男がお互い相手を間違えるなんてちとくるしすぎるような…ジョージってまた典型的な外人だし・
 
*石沢英太郎氏の解説が面白かった。清張が半七とホームズを好んでエッセイまで書いてたなんて知らなかったな。

「新カチカチ山」 旗本の家の主人、娘と妾の乗った船が流される。旗本の家の当主が死んだということで、半七が詮議をまかされる。のち、使用人の女と若殿の心中も持ち上がり…
屋敷方の詮議はむつかしい。「武家の屋敷内に鳥羽がひらけていても町方のものが踏み込むことも出来ない」

「唐人飴」 唐人の格好で飴売りにくる男と、方袖に包まれ切られた片腕。ときわづの師匠文字吉、女ばかり弟子にとっていて貞淑と評判だったが実は「男女」(おめ・いわゆるレズ)だった。腕の方は役者の敵討ち。明治までは鉦をたたいて飴を売りに来る飴売りが多かったらしい、今はもう完全に無くなったなあ。
「かむろ蛇」 あたまがかむろを被ったように黒くなっている蛇のこと。見ると不吉。安政五年、午年のコレラ流行。放蕩で感動された兄が弟の店ののっとりをたくらむ。コレラで死んだ年造が生き返って暗躍する

「幽霊の見世物」 半七「世がひらけてきたとはいえ、見世物の種は変わらない」ろくろ首など、まったくその通り。見世物小屋の中で女が死んでいる。女一人なら右のあまり怖くない道を行くはずなのに左へ行くのは、連れがあったからだとみる半七の名推理。昔は、通り抜けられた人に浴衣地をくれると言っていたが、通り抜けられないように最後の方は恐ろしく作ってある。どれだけ怖いのか知らないが一度見てみたくはある。
「菊人形の昔」 

「蟹のお角」 菊人形の昔 に出てきた蟹の彫り物をした女のとりもの話。外国人夫婦殺害事件。犬の死体が川に浮ぶ。半裸写真のモデル・復讐譚。

6/30
「川越の次郎兵衛」 武州川越、くりよりうまい13里ってここ…?
東照宮のお使い、と名乗り城内本丸に現れた謎の男。大店の若旦那の取り巻きが「本丸で天下を寄越せと言ったものに五十両」という遊びを開発したというオチ。「とかくに変わったことをやってみたがる。江戸の人気(じんき)がそんなふうになったのも、つまりは江戸の滅びる前兆」という半七の言葉はうなずける。こういう若者はいまとかわんないなー。

「廻り燈篭」 おかしな話・盗人が捕り方をおっかける。跡目を継いだばかりの若い三甚が無宿の大盗人金蔵を捕まえた、金蔵は自分を捕まえるのは名の知れた捕り方でなければとさかうらみし、牢を抜けたら三甚を殺すと言っていたのを、三甚の女が心配してあちこち逃げ回る。そういった人間模様を指して廻り燈篭に見立てる。

「夜叉神堂」 渋谷長谷寺に清水寺のご開帳があり、奉納の小銭で出来た兜が名物に・しかしその前立ての小判や銀が寺社方に注意され、とりさげることになった矢先に盗まれてしまう。
長谷寺名物の夜叉神堂に参った女から、盗まれた小判のありかは面を治めた箱の底にあったとわかる。夜叉神は腫れ物に貢献あり、そこにおさめてある古いお面を持って帰り治ったら新しい面を奉納する。そこへ、近くの寺の破戒僧が遊ぶ金欲しさに盗んだが、ひどく後悔して戻ってきて落着。夜叉神のたたりとか、なんか全体的にほほえましい。

7月
「地蔵は踊る」
江戸期の民間信仰、茗荷谷の縛られ地蔵にまつわる話。
高源寺の地蔵を拝んだらコロリにやられない、とおおはやり。或る日、その門前に女がくびられていた。流れ者の女、お歌は、参詣客を呼ぶため地蔵の下に穴を掘り地蔵を躍らせていた事実をネタに寺の美僧俊乗をゆすり、関係していた…女は生き残って俊乗がくびつって・ネタは面白いけど後味わるい~
下に穴を掘っていかさまをするからくりはばくちの「穴熊」。

「二人女房」
小金井の桜から府中の六所明神へ。半七が六所明神を参ったさい、くらやみ祭り見物で出会った一組の男女が、女の身請けの金を騙され奪われ心中した。そこから幽霊がでるという。一方和泉屋の女房が失踪し…駆け落ち詐欺の話。
暗闇祭りや府中の大国魂(六所明神)の話が面白い。「森のこずえに住む鷺や鵜が寒三十日の間はみんなどこかへ飛び去って、寒が明けると帰ってくる、一日もたがわないのが七不思議のひとつ」
その鳥が魚を落とすので空から魚が降ってくる・とか。

「薄雲の碁盤」
首を切られても蛇から主人を守った猫に由来する碁盤に、女の生首が乗ってさらされていた。
顔のあばたを手がかりに探す・相撲取りが、ごひいきのだんなの恥をそそぐために妾の女を殺した・という落ち。そういや相撲取りも武士階級だっけ…
そして、あばたをけすため朝晩苦心して化粧していたっていうお俊はえらい。江戸期は化粧のしまつがよいというのは美徳だったのな。
「白蝶怪」
正月深夜に白い蝶をみた娘が死に、次々に不吉なことが起こる。
不義密通、幸四郎の女、前科もちのお近が、夜中に白い蝶を飛ばして千人を驚かせば心願成就と
いう邪法を行なっていた。 *犯罪は旗本屋敷に逃げ込めば、町方は詮索できない。

PR
カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
ryu
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]