ゆめ か うつつ か
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雑誌の付録に、水だけで出来るインスタントお節がついてきた。
世の中便利になったものだと感心する一方、どうせ即席、味のほうはお粗末だろうと醒めた感興を催す。
とはいえ珍しいものには違いない、早速作ってみることにする。重箱はプラモデル風に組み立て式、餅は米粉に水を加えるだけで、かまぼこやくりきんとんも粉末状。まるで駄菓子をこしらえているような面妖な気分。
そうして最後に取り上げた、「黒豆」と書かれた袋には、たった一粒、干からびた豆が入っていた。これにも水をかけるだけ? と半信半疑でただの一滴、水を振りかけると、あれよあれよと豆殻にひびが入り、すっくと立ち上がる芽、やがてふさふさと生いでる葉や蔓と目まぐるしく生長を続け、しまいに小さな豆が鈴生りに、枯れゆく花の蜜をしとど浴びてつやつやと仕上がってゆく。
気付けば重箱いっぱいに湯気のたつ出来立ての黒豆が詰まっていた。わたしは浦島太郎さながら、煙めいた湯気に包まれ呆然とする……。
世の中便利になったものだと感心する一方、どうせ即席、味のほうはお粗末だろうと醒めた感興を催す。
とはいえ珍しいものには違いない、早速作ってみることにする。重箱はプラモデル風に組み立て式、餅は米粉に水を加えるだけで、かまぼこやくりきんとんも粉末状。まるで駄菓子をこしらえているような面妖な気分。
そうして最後に取り上げた、「黒豆」と書かれた袋には、たった一粒、干からびた豆が入っていた。これにも水をかけるだけ? と半信半疑でただの一滴、水を振りかけると、あれよあれよと豆殻にひびが入り、すっくと立ち上がる芽、やがてふさふさと生いでる葉や蔓と目まぐるしく生長を続け、しまいに小さな豆が鈴生りに、枯れゆく花の蜜をしとど浴びてつやつやと仕上がってゆく。
気付けば重箱いっぱいに湯気のたつ出来立ての黒豆が詰まっていた。わたしは浦島太郎さながら、煙めいた湯気に包まれ呆然とする……。
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