ゆめ か うつつ か
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満員まではゆかずともなかなかに混み合った中央線に乗り合わせ、車内はいい加減パーソナルスペースの確保も覚束なくなってきた、その頃。
斜め向かいに立っていたサラリーマンがおもむろに深々とため息をつきながら「辛いなあ!」と叫んだ。いかにも長嘆息をもらすといったオモムキに車内が一瞬動揺した後も、「辛い、つらい」と独りうなずく。
そうか辛いのか、仕方ないよねみんな辛いんだもの、などと言ってやる奇特な人間も居らず、そのサラリーマンは自分の周囲に出来たわずかなバリアに気づかぬように、しきりに「つらい」を連呼しつつK駅で降りていった。
彼に幸あれ。
*
この数日後、駅のホームで、おとなしそうなサラリーマン風青年が突如温厚さをかなぐり捨て「くそ!!」と叫ぶと自分の通勤かばんを地に投げつけ、鮮やかな蹴りを二、三発いれてぼこぼこにひしゃげさせ、また何事も無かったかのようにかばんを拾って去っていった。
彼に幸あれ。
斜め向かいに立っていたサラリーマンがおもむろに深々とため息をつきながら「辛いなあ!」と叫んだ。いかにも長嘆息をもらすといったオモムキに車内が一瞬動揺した後も、「辛い、つらい」と独りうなずく。
そうか辛いのか、仕方ないよねみんな辛いんだもの、などと言ってやる奇特な人間も居らず、そのサラリーマンは自分の周囲に出来たわずかなバリアに気づかぬように、しきりに「つらい」を連呼しつつK駅で降りていった。
彼に幸あれ。
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この数日後、駅のホームで、おとなしそうなサラリーマン風青年が突如温厚さをかなぐり捨て「くそ!!」と叫ぶと自分の通勤かばんを地に投げつけ、鮮やかな蹴りを二、三発いれてぼこぼこにひしゃげさせ、また何事も無かったかのようにかばんを拾って去っていった。
彼に幸あれ。
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