ゆめ か うつつ か
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電灯が消え、歌舞音曲も控えめな今の日本はまるで国まるごと喪に服しているかのようだ。
それにしても日本人は本質的にストイックなのだと思わずにはいられない。未曾有の災害を耐えうるためには、かつて宮本常一が『忘れられた日本人』『家郷の訓』で描いていたような、或いは小泉八雲が称賛していたような、忍耐、質素、禁欲、善意というような美徳が最大級に発揮されなければならないだろう。そして既にその一端は明らかだ。
良くも悪くも日本人は、つくづく団体でなければ生き残れないシマウマのような草食動物の性質を持っていると思う。資本主義、個人主義が爛熟腐敗しギスギスしていた一週間前よりもあきらかに今の日本は輝いている。敗戦から奇跡の復興を果たした日本のこと、災害に一致団結し立ち向かう『みんなで頑張る』という思いが、何より日本を建て直す第一歩なのかもしれないと思う。
とにもかくにも、この震災で明らかに日本は新しい区切りを迎えたと言えるだろう。それは戦前戦後の時代区分にも匹敵しうるのではないだろうか。
それにしても日本人は本質的にストイックなのだと思わずにはいられない。未曾有の災害を耐えうるためには、かつて宮本常一が『忘れられた日本人』『家郷の訓』で描いていたような、或いは小泉八雲が称賛していたような、忍耐、質素、禁欲、善意というような美徳が最大級に発揮されなければならないだろう。そして既にその一端は明らかだ。
良くも悪くも日本人は、つくづく団体でなければ生き残れないシマウマのような草食動物の性質を持っていると思う。資本主義、個人主義が爛熟腐敗しギスギスしていた一週間前よりもあきらかに今の日本は輝いている。敗戦から奇跡の復興を果たした日本のこと、災害に一致団結し立ち向かう『みんなで頑張る』という思いが、何より日本を建て直す第一歩なのかもしれないと思う。
とにもかくにも、この震災で明らかに日本は新しい区切りを迎えたと言えるだろう。それは戦前戦後の時代区分にも匹敵しうるのではないだろうか。
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わたしは同僚のKと神保町のドトールでコーヒーを飲んでいた。
旅の話や休暇中の過ごし方について話題もあらかた出尽くしたころ、かたかたとコーヒー茶碗が揺れ始めた。おや地震だ、と余裕に構えていたのもつかのま、揺れはだんだん酷く大きくなってゆく。硝子越しの往来では人が凍ったように立ちつくしていた。直感的にやばいと思い、Kの手を牽いて外に出、四つ辻にそして更に広い道へと逃れた。地面はゆらゆらと揺れて頼りなく、信号機が撓み、高層ビルがしなう。
崩れた本の山を横目にようよう会社に帰ると、社内も騒然としていた。既にコンビニからはおにぎりやパンが消え、電話も繋がらない。余震のなか他にできることなく仕事を進めた、テレビからはひっきりなしに地震速報。
電車も全線不通、タクシーも配車不可能となり帰宅を諦めたころ、会社から毛布や缶詰めが配布され、あとは皆でテレビを眺めて過ごした。相次ぐ地震警報、やがて訃報に次ぐ訃報。「死亡しました」ということばをこんなに聞くことがあるとは。打ち寄せられた遺体の数に、悪夢を見ているような気分。
明け方、私鉄が動き出したのを見計らい帰宅、わらわらと集まってきた勤め人はみな一様に暗い顔。隙間を詰めて席をつくってくれる、その思いやりにも涙が出そうになる。
途中電車の速度制限が解除され、車掌がしどろもどろに「今よりは速度を出して運転しますので、通常よりは遅いのですが、しかし多少は早めに運転します」などと歯切れの悪いアナウンスをしていた。
朝日が上るころ、駅に降りたった。身を切るような寒気は多分気候のせいだけではないだろう。
冷たい朝だった。

旅の話や休暇中の過ごし方について話題もあらかた出尽くしたころ、かたかたとコーヒー茶碗が揺れ始めた。おや地震だ、と余裕に構えていたのもつかのま、揺れはだんだん酷く大きくなってゆく。硝子越しの往来では人が凍ったように立ちつくしていた。直感的にやばいと思い、Kの手を牽いて外に出、四つ辻にそして更に広い道へと逃れた。地面はゆらゆらと揺れて頼りなく、信号機が撓み、高層ビルがしなう。
崩れた本の山を横目にようよう会社に帰ると、社内も騒然としていた。既にコンビニからはおにぎりやパンが消え、電話も繋がらない。余震のなか他にできることなく仕事を進めた、テレビからはひっきりなしに地震速報。
電車も全線不通、タクシーも配車不可能となり帰宅を諦めたころ、会社から毛布や缶詰めが配布され、あとは皆でテレビを眺めて過ごした。相次ぐ地震警報、やがて訃報に次ぐ訃報。「死亡しました」ということばをこんなに聞くことがあるとは。打ち寄せられた遺体の数に、悪夢を見ているような気分。
明け方、私鉄が動き出したのを見計らい帰宅、わらわらと集まってきた勤め人はみな一様に暗い顔。隙間を詰めて席をつくってくれる、その思いやりにも涙が出そうになる。
途中電車の速度制限が解除され、車掌がしどろもどろに「今よりは速度を出して運転しますので、通常よりは遅いのですが、しかし多少は早めに運転します」などと歯切れの悪いアナウンスをしていた。
朝日が上るころ、駅に降りたった。身を切るような寒気は多分気候のせいだけではないだろう。
冷たい朝だった。
仕事が終わって安心したのか風邪が悪化してしまい、声がほとんど出なくなってしまった。困った。
喉の不調といえば、創業200年を誇るその名も非凡な龍角散しかない、と思い、ノーマルな龍角散のど飴から龍角散EX(ハニーミルクでオツな味)、龍角散ダイレクト(顆粒状)まで試してみたが、なかなかよくならない。龍の角なのに。
やっぱり加湿器かな、でももうすぐ冬も終わるし買うほどでもないしな、と思っていたらmが獲ってくれた、200円で。
小型アロマ加湿器! わーーーーい! がんばって治す!!
*
弟には「今頃風邪かよ。遅れてるな、これからは花粉の時代だぜ」といわれた。確かに一番風邪が流行していたときにはぴんしゃんしていたし、昨今は薬局でもコンビニでも花粉対策がメインで風邪コーナーは縮小されている。こんなところでも流行に乗れないのかとちょっと愕然。
喉の不調といえば、創業200年を誇るその名も非凡な龍角散しかない、と思い、ノーマルな龍角散のど飴から龍角散EX(ハニーミルクでオツな味)、龍角散ダイレクト(顆粒状)まで試してみたが、なかなかよくならない。龍の角なのに。
やっぱり加湿器かな、でももうすぐ冬も終わるし買うほどでもないしな、と思っていたらmが獲ってくれた、200円で。
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弟には「今頃風邪かよ。遅れてるな、これからは花粉の時代だぜ」といわれた。確かに一番風邪が流行していたときにはぴんしゃんしていたし、昨今は薬局でもコンビニでも花粉対策がメインで風邪コーナーは縮小されている。こんなところでも流行に乗れないのかとちょっと愕然。