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ゆめ か うつつ か
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よく行く古本屋の二階でたまに著者のサイン入り本特集をしているのだが、今日はそこに中井英夫の署名入り本が並んでいた。

その署名がなかなか素敵なしろもので、よくありがちなデザイン性を重視しすぎて判読不能なものでなく、実にあっさりのびのびと楷書で書かれている。それに色が良い。サインする側の配慮かされる側の機転か、焦茶色の扉ページに太い銀色のマジックペンという絶妙な色みには、感服。

ああいいなあ、ちょっと欲しいなあ、と思ったものの、やはりそれなりのお値段なので諦めた。その本の短編、違うバージョンで持ってるし(ありがちな罠)。

人は死して名を残すと言うけど、具体的に残ってる名前にはなかなかお目にかかれないよな、と、署名をなでなでして古本屋を辞した。ちょっと未練。死んだひとにはもうサインしてもらえないからねえ。当たり前だけど。

ちなみに、先年亡くなった種村季弘氏のサイン入り本もところせましと並んでいたが、この方のサインはわたしも持っている。高校のころわざわざ氏の講義を聞きに行きサインをもらった『吸血鬼幻想』、あれも少しは価値が出ているのかなあ、種村氏は何せ長生きしたし教授をしていたから、サイン本もわりと残っていそう。


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 赤ん坊サイズおにぎり。Aちゃん用。



妹ができ、母親に以前よりかまってもらえなくなったためか、最近Aちゃんのご機嫌は一貫して低気圧のようである。いちど荒れ狂うとどうにも手がつけられないのだ。とりわけわたしは、Aちゃんにあまり「オトナ」として認識されていないようで、すぐに攻撃される。幼児といっても体当たりでこられるとけっこう痛いしつらい、反撃もできないし。

理性とか自制ってまだ無いんだろうなあ、いつから培われてくるのかしら。まあ、よのなかには泣いてもわめいても暴れてもどうしようもないことがあるということ、これから少しずつ知っていけばいい。

草地にひっそりとうずもれた比較的新しい給湯器やら、フェンスにひっかけられた真珠の数珠(一見パールネックレスのようだがどうみても数珠)やら、最近は帰宅途中におかしなものばかり見ている。



いうような話をしたら、mが旅先の駐車場で見かけた面白い看板の話をしてくれた。

「停車中は、ニンジンを切ってください」。

・・・・・・アイドリングストップをうながすつもりが、さながらお料理教室開催中、みたいな看板に!



 花火。このまえ山に行ったとき、線香花火と一緒にばら売りされてたやつ。相当数買ったような気がしてたけど、夢中になって遊んでたらあっというまに終わってしまった。夏の花火、冬の焚き火・・・・・・火ってやっぱり見入ってしまうなあ。

昔、旅先で一緒に花火をしたロシア人のおじさんが、落ちかけた線香花火の火の球をとっさに手で掴んで、盛大に火傷していた。線香花火をするといつも、そのおじさんのことを思い出す。わが身の危険も省みず線香花火のうつくしさを守ろうとした、コドモのように無謀で純粋な、こころのやさしいおじさんだった。

帰宅途中、例のごとく中央線が止まってしまい、いらだたしい気持ちで乗り換えの電車を待っていると、やってきたのが懐かしい「オレンジ電車」だった。

 201系。まだ運行してたんだ!

2~3年くらい前より中央線からオレンジ色の箱型電車が消えて、代わりに銀色の軽快な車両が、まるで鱗をひるがえしておよぐハヤみたく、いちもくさんに都心目指してかっとんでいくようになった。それからほとんど見かけてないので、てっきりもう廃止になったとばかり思っていた。

電車に乗るって「おとな」だなあとちいさいころは思っていて、だから初めて乗った電車、ずっと乗っていた電車にまた再会できたのがちょっと嬉しかった。たとえ乗車率120パーセントでも。。





親父のちいさいころは、中央線は「チョコレート色」だったらしい。今でこそルミネやそごうや高島屋ほか、大きなビルがばんばん立ち並び、いっぱしの商業都市でございという雰囲気の立川も、そのころは駅前に一軒大きな魚屋があるきりだったという。親父は祖母に連れられて、立川にラーメンを食べに来るのが楽しみだった、と、目を細めて話していた。

たぶん こないだ生まれたばかりのAちゃんたちにとっては、中央線は「銀色」なのだろう。





 ほほえみクリニックでバラの鉢にいったい何が。





わたしは「コドモと遊ぶのに向いている」と周囲のひとはこぞって言うが、しかしわたし自身はあまり向いているとは思わない、確かにわたしはコドモ、とりわけ幼児と遊ぶのが好きだし、即興のお絵かきも歌も踊りもお話も、うちの家族の中ではいちばんうまいほうだと思うけど。

でもわたし、わりと本気で幼児とケンカしちゃうんだよ。それって致命的だよね。

そういうわけで今、Aちゃん(二歳)とケンカ中。

だってAちゃんがわたしが痛がるのを面白がって足を蹴るんだもん! 



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