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ゆめ か うつつ か
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どこからか、天地をつんざくような音が響いてきて、いつまでも鳴りやまない。わたしは冷静に、対話相手に

「ちょっと待ってて、ケータイのアラームが鳴ってるから止めてくる」

と告げると、ぱっちり目覚めたのだった。

まさに夢と現実の間。




Kさんの腹には赤ん坊が透けて見えた、

ふりあおぐと、赤い岩山がくっきりと荒々しい陰影を見せている。雲がしゅうしゅうと通りすぎてゆき、なにか凄惨な景色にわたしはうつむく。いつの間にかKさんは消え、足首まで真っ白な雪が積もっていた。





わたしは何となく歩いている。

のどかな田んぼ道を抜け、木漏れ日の杉林を抜ける。苔むした地蔵や稲荷のしっとりとした緑がびろうどのように滑らかだ。

見下ろすと、川原では狐の嫁入り。かわいらしい花嫁が水を渡ると、赤い牛がその後を追いかけていく。

道は傾斜を増し、山道に差し掛かる。それでもまだ歩いていくと、寺にたどり着いた。奥殿にはお祓いを受けないと入れず、仕方なくわたしも正座する人々に交じり読経を受けるが、やがて閑を覚えそこを抜け出す。
気儘に御堂を覗き歩いていると、「いをの間」と書かれた小さな部屋がある。壁には箱もろとも人魚のミイラが打ち付けられており、わたしはそれを見た瞬間から、水が恋しくてたまらなくなる。きよらかな水を浴びたい、滝に入りたい……
と、突然がらりと襖が開き、瞑目の坊主に喝破された。

「お前さん、人魚に憑かれなすったね」



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家の近くの電柱のかげでたまごを見つける。ひびが入っていて、今にも何かが生まれそうだ。わたしはしゃがみこんでたまごをじっと見つめる。卵の中からやがて白くてふわふわした毛の、耳が異様に長い、金色の目のうさぎがでてくる。そうか、ウサギは卵から生まれるのだっけ、とわたしは思い、満足してそこから去ろうとするが、うさぎはひょこひょことわたしのあとをついてきて離れない。かわいいが、困ったなあと思う。





落とし戸を開け、はしごを下ると、広い廊下に出た。

いつになったらこの屋敷から出られるのだろう、と思いながらわたしはけして不安ではなかった。その屋敷はとても奇妙なつくりになっていて、いくつもの部屋があるいは折り重なり、あるいはいつのまにか他の部屋と交差しては、わたしを違う回廊へと導くのであった。まるで壁や扉が絶えず変形し続けているような、そんな奇形の部屋には、無数の鳥が集められていた。

鳥たちは籠におさめられることもなく、思い思いにあるいは止まり、あるいは他の鳥と戯れていた。突然の闖入者たるわたしにも驚くことなくそのつぶらな瞳を向けてくるので、わたしは思わず手を伸ばしてそのやわらかな喉を撫でてみたりした。

珍しい鳥、変わった鳥も多かった。淡い紫色の羽にドライヤーで逆立てたようなふわふわの長くカーヴした羽を
持つ鸚哥、虹色のグラデーションに、全身花びらのような細かく小さい羽、黒く丸いビーズのような瞳の小鳥は、ウフ鳥というらしい。手のひらにのせると甘い声でさえずった。

部屋の高いところには黄色い大型の鳥たちの巣がつらなり、つやつやした卵がちらりとのぞく。突然、甲高い声が聞こえた、

「わたくしレース編みをいたしますの、」

人がいる! 

わたしは声の方向へ向かおうと階段を駆け下りた。交差された止まり木の上で、黒い鸚鵡がわたしをじろりと見て小ばかにしたように「わたくしレース編みをいたしますの」と言った、その向こう、崩れかけた部屋で、三人の老女がお茶をしていた。不安定な足場で、震えるゆびで、老女たちは上をさした。

「「「ここから出たければ、下へ向かうのではダメ。上に向かいなさい」」」

あ、とわたしは思った、そうか、一階にたどりつけば外へ出られると思っていたけれど、ここでは反対、屋上に出なければならないのか・・・・・・・・

そうして上を振り仰ぐと、今まで通り抜けてきた部屋が、光に透けてゆらゆらゆらめいているのが見えた。





 

突然弟が鳥を大量に飼いはじめ、家にはケージがたくさん並ぶ。
目の覚めるように青い凶暴なチャボがわたしを目の敵にしてつつきまわしてくる。また、白いあひるが二羽、猫のようにわたしにすりよってくる。わたしは当惑するばかりだ。





Gが何やら和綴じの本を抱えている。本の表紙には、流れるようなかなもじで「きやうしやうざうし」と書いてある。

平安末期、下級貴族の女(むすめ)くにこが罪を得て東国に下る途中、大病を患う。薬代わりに竹皮に包んだやまくじらの肉を抱え、こしかたの華々しい日々を憶い、浅ましき今のわが身を嘆きつつ、己の罪の一切である恋愛遍歴を記しておこうと決意する……

と、いう内容であるらしい。わたしはうなずき本をめくるが、何故か一ページも読むことができない。





今日は、織田ノブナガにホられそうになる夢で飛び起きた。あまりに恐ろしかったのでmに報告したら、「ノブナリじゃなくて良かったね(^o^)」と言われた。

………………何か、すごく、納得した。


わたしはもうずいぶん前からここを動いていない。わたしは躄(いざり)である。

もうずいぶん前から、汚物を頭からかぶるような日々が続いている。毒気や瘴気に満ちた生活は、わたしを暗い感情の海に突き落とした。絶えず不安という波に揉まれながら、わたしは早いところ自分が溺れきってしまうよう祈った。台風の中心が穏やかであるように、水底にたどり着いてしまえば安全なはずなのだ。わたしは一歩も動けないまま居ながらにして沈んでゆくのだろう、墜落するのだろう、この世界から。

そしてわたしはごみ溜めから新しい生命が生まれるのを見る、聖アントワヌのように。

《物質の奥の奥まで下りたい》《物質になりたい》のだ。


今はもうカラスしか住んでいない廃墟の島へゆく。灰色の海に囲まれた小さな島へ。

崩れかけた船着き場からゆるやかに続く山道をたどっていくと、旧びた神社跡があった。落葉し立ち枯れた林檎の木が白骨のようにそびえ、そこここに黒い羽根が散っている。目にうつる全てが陰鬱で、堪らずふりかえると、重たげにたゆとう海に木の葉のように小さくなった船が見えた。

置いていかれたのだ、

そう覚った瞬間、それまでわたしの足元で不気味に沈黙していたカラス達が一斉に飛び立ち、地面が黒く鳴動した。


*


目を閉じればまなうらに残る、閃く身体。

晴れ渡った白銀の峰を、わたしは歩いている。前方には見知らぬ青年がひとり、力強くラッセルで雪を掻き分け進んでゆくのが見える。わたしの手には、冬空を閉じ込めたように冷たく光る氷柱があるだけだ。よろめき凍えるわたしと青年との距離は、開いてゆくばかりで。

意気ようようと遠ざかってゆく青年の赤いウエアが白い雪ににじむ、ひとしずくの血のように。不意に邪悪な意志に命ぜられ、わたしは青年の背中めがけ氷柱を投げつけた。

氷柱は谷から吹く突風の勢いを借りて銀色の矢のように虚空を切り裂くと、青年の背中にあやまたず命中した。

彼はきらきらと光る雪の粉を撒き散らしながら墜ちて行った。

閃く身体がまるで蝶のようだとわたしは思い、そっと瞼を閉ざした。


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