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30年近く前のとあるポストモダン評論を読んだら、定住/貯蓄/パラノイア的な資本主義から、遊牧/無産/スキゾフレニー的な分裂思考への転換が謳われていたのだが、ここ20年来のパソコン・インターネット時代は正にスキゾ的な世界の到来だなあと勝手に思い至った。徹底的な逃避の世界。
そうだな 世界は今、よく醸された赤葡萄酒のような濃密さと言うよりは、林檎酒〈シードル〉のように軽やかに弾け続けているような気がするよ。
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カミュ 『幸福な死』
古本屋で一冊百円だった。
メルソーは不具者ザグルーを殺しその金を奪い、幸福になるために放浪する。いかに幸福に死ぬか=いかに幸福に生きるかの話、罪悪などはなから関係はない。人を殺してもなお幸福への意思を持ち続けられる人、幸福に成るのにふさわしい者。
大切なのは幸福への意思。
「愛と欲望は同じやり方で表現されるということを意識して、相手を抱きしめる前に愛の破綻を想ってしまう」
「決してあきらめてはいけない。きみには、たくさんのものが自分の中にある。そして、すべての物の中で最も高貴なものは、幸福の感覚なんだ。男の生活だけに期待してはいけない。…それをきみ自身に期待するのだ」
…メルソーのいうことはいちちしっくりくるのだが・「外観」(アパランス)という女にしてもリュシエンヌにしてもそうだ、女を愛してはいない、恋愛に入り込まない、人生に入り込まない、徹底的な客観。
しかし私に言わせればそれも愛だ。
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ウェルズ 『モロー博士の島』
船が難破して助けられた人の島に世話になるが、そこでは一日中動物の悲鳴が絶えない。人々もみな奇妙に背がひくく言葉も不自由で、彼らはみな掟に縛られている…
「紫色のきのこ」
小心の男がきのこでトリップしたことをきっかけに、人生を変えた話。トリップ後が愉快すぎる。笑えた!
「ブラウンローの新聞」
四十年後の新聞が間違って配達されてきた話。ただし誤訳か校正ミスか、1831と1931の二つの年が出てる。まあ1871でも1971でも人々は胸をさらしてはいないし化石燃料から地中熱とかいう燃料に移行してもない。こういう未来予想はおもろい。
あとは、売春の社会史とか読んでいる。
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サリンジャーの、ちょっと手に入りにくい短編集を格安で見つけたので購入してみたのはいいが、訳の意味が取れずに首を傾げてばかりいる。中学生みたいな直訳つうのかな、絶版になるのもわかる酷さ。原文で読んだ方がまだしも面白そうだ。昔 ナボコフ読んでもそう思ったけど、訳者は選ばなきゃだなぁ。
あとは 柴田宵曲とか 厭きもせずにアラビアンナイトとか読んでる、あと 先ごろ加藤シューイチ氏がお亡くなりになったので、久々に『日本文学史序説』なんかも取り出してみたけど上巻しか無くて、下巻を買わねばなるまいかな などと考えている。
小説を読む気がしないのはなぜかしらね。
人生よりも面白い物語なら、読みたいと思うのだけれど。
ほんとは『S/Z』を買おうか迷ったけど、今のわたしは研究書を読めると思えない。。
〔Roland Barthes 1915~1980 フランスの思想家、文芸評論家。演劇や映像をといったテクストから世界をひもとこうとしたひと。ハンサム&病弱&マザコン&ゲイ&事故死という、わたしのツボをことごとく押さえた哲学者〕
バルトにハマったきっかけがこの本なので、ずっと狙ってたのだが・定価4000円ちかくてねえ……古本屋で探してたの。
この本 写真が大量にあって、もう『ロラン・バルト写真集』状態ww
わたしの好みは ハンサムで病弱で家庭的な不幸を抱えていて仮装好きでゲイで事故死を遂げたひとです。
アラビアのロレンス とか。
どなたか 他にまだそういうひとをご存知でしたら教えてください。。。
最近作った料理、アタリだったもの
・豚肉のほうれんそうチーズ巻き
・冬瓜と肉団子のスープ
・茄子とトマトのラタトゥイユもどき
・あんかけチャーハン
・長いもとんぶりサラダ
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最近読んだ本、アタリハズレ問わず
谷崎潤一郎 『犯罪小説集』
「白昼鬼語」描写の丁寧さにつきる。美女に絞め殺されたい願望。まとめ方も意外性あり。
わたしの好みは「途上」、ある日突然自分の旧悪を暴かれる。デジャビュ。
「柳湯~」はぬるぬるしたものに執着する青年の描き方がきもい。きもいと思わせたもん勝ち。
いずれにせよマゾい。
『卍』 画学校で出会った美しい少女光子と人妻園子の愛。二人の関係に園子の夫が加わり、三人心中を企てるが……
まずひとこと。よみにきい!全編大阪弁だからかな、土地勘も無いし。新潮文庫は註がついてるのがかえってめんどくさくなってる。
真昼、光子を裸にして観音の格好させるところがあやしくて好き。綿貫や園子の夫含め、ぬきさしならない三角関係にもちこむのが光子のやり方で……最後に裏切るけど、光子の魔性を一番よく分かってたのはお手伝いの梅だったんだろね。
ずるずると引き込まれて行く泥沼感はともかく、園子の夫のキャラがいまいちよくわかんないまま、なだれるようにラストだった。でも後味はそんなに悪くないのはやっぱり全編大阪弁だからか?
大下宇陀児 『金色藻』
駆け出しの新聞記者葦田がたまたま傍聴していた裁判の被告人が射殺される。殺された男が盗みに入ったのは人気女優の家で、彼女に手がかりがあるという密告があったものの、密告した男も失踪し……
途中からもろにあやしい人物が最後まで怪しかったすなわち犯人だったガーン!
そういうわけでトリックとかそういうのは特に面白いとこなし。主人公とヒロインの志津子ちゃんのカップルはかわいいけど正直言って読んで「へええ」って思ったのはタイトルの黄金藻の由来、「海水には黄金が溶け込んでいる」という科学的知識のみだった。信じちゃったけどこれ合ってるの??大下さんはもと理系だったらしいからこういうとこはもっともらしいよね。。
あと横溝正史の初期短編集『空蝉処女』も読んだ、戦時中の短編はやっぱりお国のために的なフレーズが出てきてわりと弱った。横溝は戦後なって本格ミステリを目指したって言うけどそんなかんじ、トリックよりも雰囲気的な部分が巧いような。
遠藤周作の『王妃マリー・アントワネット』もようやく読んだ。高校のときに友人に薦められていまだ読んでなかったやつ。うーんどうなんだろう 同じ歴史ものなら戦国もののほうが好きかな……。アントワネットと対照的な少女マルグリットを描くことによって対比してるのはわかった、でも見せ方が……カリオストロやらサドやら話題性たっぷりだから出したいのはわかるけど、いささか出しすぎではあるまいか。あんな強烈な人物に次々出会わないんじゃねえの?そしてまさかのシャルロット・コルデ。。あれは無いわー……
でもそうだな 中学のときに読んだらうっかり信じちゃうかもしれない。
柳田の『桃太郎の誕生』はいずれ欲しい。