ゆめ か うつつ か
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By フーコーの振り子。
実際人間の雑多な感情の中で信じるに価するのは「知りたい」という欲求のみのような気がする。
*
時間とスペースの余裕が出てきたので、欲しかった本をネットの古本屋で漁りまくっている。絶版になってたM・パンゲの本も熱帯の果物誌も入手!欲しかったんだこれ……。
あんまりネットでお買い物とか好きじゃなかったんだけど……やってみると便利だ、それに日本中の古本屋からわたしの欲しい本がわたしまっしぐらにやってくると考えるとちょっと愉快。
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柳田國男 『雪国の春』
一律の暦に均す。季節の春と暦の春の相違と無視。
当時(大正14)は太平洋戦争の前だから 台湾だって樺太だって日本だったんだよね。
ホイジンガ 『中世の秋』 上・下
←べつに狙って春秋をとりまぜたわけではない。
中世は今よりも感情の動きが激しかったというくだりを読んで、ああなるほどね、アーサー王なんか読んでると泣き死んだりする人間がいるしね・と納得。
いやはや実に、騎士道のアホらしさに今更ながら大笑いしている。自分を崇拝する騎士に「今度のトーナメントには鎧ではなくわたしの下着を身に着けて出場なさい」とかどんだけサドい試練を与えるの。それ貴婦人の言うことなの。。
ゲーテ 『イタリア紀行』 上
馬車の旅とかしてみたい。今は世界が狭すぎる。
余談だけどゲーテは憧れの地イタリアを旅した後、終生を過ごした自宅の床にラテン語で「SALVE」(ようこそ)の文字を書いたそうだね。旅する土地と住むと地は違うよね。恋愛と結婚みたいなものでさあ。
コクトー 『大股びらき』
思春期少年。
澁澤訳・馴染み深い青い感情をこの上なく繊細な言葉で。
横溝未収録短編 『双生児は囁く』
「汁粉屋の娘」
不仲の姉妹小町の片割れが死ぬ。美女の描写。野球の玉が犯人ってそれねえぜ……
「三年の命」
ガスパールハウザー元ネタ?拾われた美声年は言葉を話せず暗闇で育てられた。周囲に不幸をまくと言われる青年の出生の秘密と破滅的な愛。
「双生児は囁く」
トランプのクインの刺青の女、真珠王の真珠でうめつくされた檻の首飾りを狙う女怪盗と、その女にそっくりな美女。色白の夏彦と色黒の冬彦という双子のタップダンサーが探偵役。推理ではなく冒険ものに近い。キャラクターは魅力的だったな。
他、
中野美代子『カニバリズム論』(巻頭に澁澤の言有り/メデューズ号の筏、ルーブルで見てきたばかり)
チョーサー『カンタベリ物語』(幽霊騎士の話が面白かったな・デカメロンもあわせて読みたい)
エーコ『文体演習』(「ノニータ」は爆笑必死。)
あとはパリで入手してきたボッスとかアルチンボルドの画集とか見てる。
清張は別記にて。
漫画なら藤子F不二雄の短編、カメラセールスのタイムトラベラー、漂白のヨドバ氏の行く末がきになる。要領悪くて善人の彼のことを考えると涙出そうになる。 貧乏な家にステイして病気になり未来へ帰る機会を逸し金持ちに売り付けようとしたカメラを足の悪い子に十円でやり呪いカメラは捨ててしまいラーメン一個にダマされ、たま~~~にうまいことカメラが売れると読み手がほっとしてしまう。カワイソーに。
あとは福本のぶゆきのメタボ中年社会の底辺層が主人公の『最強伝説黒沢』かな!これ面白怖かった!
終わり方がハッピーでないとMはゆってたがわたしはそうでもないと思う、現実で黒沢を救う手段ははっきり言って無い、奇跡以外は。なら現実の外に脱出するのもアリじゃん?ってこれまたモダニストとポストモダン的な対立だな。
一律の暦に均す。季節の春と暦の春の相違と無視。
当時(大正14)は太平洋戦争の前だから 台湾だって樺太だって日本だったんだよね。
ホイジンガ 『中世の秋』 上・下
←べつに狙って春秋をとりまぜたわけではない。
中世は今よりも感情の動きが激しかったというくだりを読んで、ああなるほどね、アーサー王なんか読んでると泣き死んだりする人間がいるしね・と納得。
いやはや実に、騎士道のアホらしさに今更ながら大笑いしている。自分を崇拝する騎士に「今度のトーナメントには鎧ではなくわたしの下着を身に着けて出場なさい」とかどんだけサドい試練を与えるの。それ貴婦人の言うことなの。。
ゲーテ 『イタリア紀行』 上
馬車の旅とかしてみたい。今は世界が狭すぎる。
余談だけどゲーテは憧れの地イタリアを旅した後、終生を過ごした自宅の床にラテン語で「SALVE」(ようこそ)の文字を書いたそうだね。旅する土地と住むと地は違うよね。恋愛と結婚みたいなものでさあ。
コクトー 『大股びらき』
思春期少年。
澁澤訳・馴染み深い青い感情をこの上なく繊細な言葉で。
横溝未収録短編 『双生児は囁く』
「汁粉屋の娘」
不仲の姉妹小町の片割れが死ぬ。美女の描写。野球の玉が犯人ってそれねえぜ……
「三年の命」
ガスパールハウザー元ネタ?拾われた美声年は言葉を話せず暗闇で育てられた。周囲に不幸をまくと言われる青年の出生の秘密と破滅的な愛。
「双生児は囁く」
トランプのクインの刺青の女、真珠王の真珠でうめつくされた檻の首飾りを狙う女怪盗と、その女にそっくりな美女。色白の夏彦と色黒の冬彦という双子のタップダンサーが探偵役。推理ではなく冒険ものに近い。キャラクターは魅力的だったな。
他、
中野美代子『カニバリズム論』(巻頭に澁澤の言有り/メデューズ号の筏、ルーブルで見てきたばかり)
チョーサー『カンタベリ物語』(幽霊騎士の話が面白かったな・デカメロンもあわせて読みたい)
エーコ『文体演習』(「ノニータ」は爆笑必死。)
あとはパリで入手してきたボッスとかアルチンボルドの画集とか見てる。
清張は別記にて。
漫画なら藤子F不二雄の短編、カメラセールスのタイムトラベラー、漂白のヨドバ氏の行く末がきになる。要領悪くて善人の彼のことを考えると涙出そうになる。 貧乏な家にステイして病気になり未来へ帰る機会を逸し金持ちに売り付けようとしたカメラを足の悪い子に十円でやり呪いカメラは捨ててしまいラーメン一個にダマされ、たま~~~にうまいことカメラが売れると読み手がほっとしてしまう。カワイソーに。
あとは福本のぶゆきのメタボ中年社会の底辺層が主人公の『最強伝説黒沢』かな!これ面白怖かった!
終わり方がハッピーでないとMはゆってたがわたしはそうでもないと思う、現実で黒沢を救う手段ははっきり言って無い、奇跡以外は。なら現実の外に脱出するのもアリじゃん?ってこれまたモダニストとポストモダン的な対立だな。
・逃走線
(逃げること、破壊すること、ひきこもること)
・脱領土化
描くもの。分断するものそのもの。
(そのものであること。例えばあたしにとって読むことは溶け込むこと、物語とひとつになること。なので必然的に感想は体験的な記述寄りになる、すなわち「甘い」「やわらかい」「爽やかだ」「暑い」「ぬかるむ」みたいな、感覚と一体化した言葉の群。入り込んでしまうから分析など出来ない。良し悪しもわからない。そこに在る世界、自分が生きてる現実を判断出来ないように。客観化できない。
そのものであること。)
・疎外され規定される(今わたしたちが継承しているものの多くは近代の産物。例えば家族という幻想。
・疎外=客観視→差異化(なるほど宗教は廃れる、信仰〈≒愛〉は同化を目指し、資本主義は差異化を目指すならば。
・スフィンクス、未分化の母。オイディプス、区別する父。
・〈心の病〉という名のもとに〈狂気〉が消える。(同じ現象が何度でも生まれ変わる)
*
理解のおぼつかない文章の中に、時折燐光を発してるみたいに「わたしそのもの」の一節を見つける。そういう読み方をまさしく恣意的な読書という。
哲学書を読む態度としては最低の部類。
(逃げること、破壊すること、ひきこもること)
・脱領土化
描くもの。分断するものそのもの。
(そのものであること。例えばあたしにとって読むことは溶け込むこと、物語とひとつになること。なので必然的に感想は体験的な記述寄りになる、すなわち「甘い」「やわらかい」「爽やかだ」「暑い」「ぬかるむ」みたいな、感覚と一体化した言葉の群。入り込んでしまうから分析など出来ない。良し悪しもわからない。そこに在る世界、自分が生きてる現実を判断出来ないように。客観化できない。
そのものであること。)
・疎外され規定される(今わたしたちが継承しているものの多くは近代の産物。例えば家族という幻想。
・疎外=客観視→差異化(なるほど宗教は廃れる、信仰〈≒愛〉は同化を目指し、資本主義は差異化を目指すならば。
・スフィンクス、未分化の母。オイディプス、区別する父。
・〈心の病〉という名のもとに〈狂気〉が消える。(同じ現象が何度でも生まれ変わる)
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理解のおぼつかない文章の中に、時折燐光を発してるみたいに「わたしそのもの」の一節を見つける。そういう読み方をまさしく恣意的な読書という。
哲学書を読む態度としては最低の部類。
Gが年末大掃除でここ数年貸しっぱなしにしてあった本類を紙袋いっぱいに返してくれやがったのだけど、その中にシェンキェヴィッチの『クォ ヴァディス』があったので久々に読み返してみたら面白すぎて夜中まで読みふけってしまった。
そんで次の日満員電車の中で物語がクライマックスを迎えて、人目もはばからずぽろぽろ泣いてしまった。
これ 「世界の名著百選」とかでよくとりあげられてるけど、そういうのに載せられてるあらすじはタイトル(クォヴァディス=主よどちらへ行かれるのですか・の意)を意識してか大抵燃え上がるローマから逃げるペテロとクリストのシーンで、荘厳かもしれないけど辛気臭いんだよね。もっと恋愛劇だしもっと活劇冒険譚なんだよ!
物語は我侭な青年貴族ヴィニキウスがキリスト教徒の娘リギアに会って改心するという恋愛話を主軸に、ヴィニキウスの叔父ペトロニウスさまとその女奴隷にして恋人のエウニケ、皇帝ネロの残虐ぶり、ローマの混乱ぶりなどが描かれてて実はキリスト教徒の描写よりそっちのほうがはるかに精彩だし面白いしドラマ性がある、大河ドラマの風格っつうのかな……
あたしが泣いたのは卑劣で最低な裏切り者、ギリシャ人キロンが改心するシーンで……
キロンは物語の所謂悪役、キリスト教徒の男の財産や妻や子を奪い追放しあまつさえ密告して処刑させる最悪の人間なんだけど、自分が破滅に追いやった男の死をまともに見つめることも出来ず、死にゆくその男に赦しを願うんだ。するとその男はキリストの名に於いてキロンを赦すわけ。
それでキロンは改悛してネロを告発し、キリスト教徒として処刑されるんだけど、それまで卑しく哀れだった男が実に晴れ晴れと立派に死んでいくの。
「醜い行いはあるが醜い人間は居ない」、って 何だかすごく、うなずきたかった。あたしもそう思っている、どんな人間でもうつくしい、醜い行いをしてもなおそれを悔いることのできる人間はうつくしい。
*
ちなみに『クォヴァディス』のペトロニウスさまはここ十年くらい、わたしの理想の男性です。
趣味の審判者、無神論者、冷徹な理性に貫かれたひとにして美を愛する詩人、何でもできるひと、笑いながら自殺してなお友人と語り合いながら死んでいった美しいじじい。
……個人的なイメージはイアン・マッケラン。
そんで次の日満員電車の中で物語がクライマックスを迎えて、人目もはばからずぽろぽろ泣いてしまった。
これ 「世界の名著百選」とかでよくとりあげられてるけど、そういうのに載せられてるあらすじはタイトル(クォヴァディス=主よどちらへ行かれるのですか・の意)を意識してか大抵燃え上がるローマから逃げるペテロとクリストのシーンで、荘厳かもしれないけど辛気臭いんだよね。もっと恋愛劇だしもっと活劇冒険譚なんだよ!
物語は我侭な青年貴族ヴィニキウスがキリスト教徒の娘リギアに会って改心するという恋愛話を主軸に、ヴィニキウスの叔父ペトロニウスさまとその女奴隷にして恋人のエウニケ、皇帝ネロの残虐ぶり、ローマの混乱ぶりなどが描かれてて実はキリスト教徒の描写よりそっちのほうがはるかに精彩だし面白いしドラマ性がある、大河ドラマの風格っつうのかな……
あたしが泣いたのは卑劣で最低な裏切り者、ギリシャ人キロンが改心するシーンで……
キロンは物語の所謂悪役、キリスト教徒の男の財産や妻や子を奪い追放しあまつさえ密告して処刑させる最悪の人間なんだけど、自分が破滅に追いやった男の死をまともに見つめることも出来ず、死にゆくその男に赦しを願うんだ。するとその男はキリストの名に於いてキロンを赦すわけ。
それでキロンは改悛してネロを告発し、キリスト教徒として処刑されるんだけど、それまで卑しく哀れだった男が実に晴れ晴れと立派に死んでいくの。
「醜い行いはあるが醜い人間は居ない」、って 何だかすごく、うなずきたかった。あたしもそう思っている、どんな人間でもうつくしい、醜い行いをしてもなおそれを悔いることのできる人間はうつくしい。
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ちなみに『クォヴァディス』のペトロニウスさまはここ十年くらい、わたしの理想の男性です。
趣味の審判者、無神論者、冷徹な理性に貫かれたひとにして美を愛する詩人、何でもできるひと、笑いながら自殺してなお友人と語り合いながら死んでいった美しいじじい。
……個人的なイメージはイアン・マッケラン。